Project/Area Number |
04J10305
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Resource conservation science
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石濱 史子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 保全 / 遺伝構造 / マイクロサテライト / Primula sieboldii / 種子散布 / ラメット散布 / 水散布 |
Research Abstract |
植物個体群では、花粉・種子などの散布距離が限られているため、遺伝構造(血縁者の集中分布)が形成されることが多い。個体群内の遺伝構造は、近親交配や分断化後の遺伝的多様性などを通じて、個体群の存続性に影響を与えるため、その形成過程に影響する要因を明らかにすることは保全上の意義も大きい。サクラソウでは、花粉は主にトラマルハナバチ女王によって媒介され、種子は主に重力散布される。さらに、種子とクローン成長によって形成された生理的に独立なラメットが、稀に水散布や土砂の動きに伴って散布されると考えられる。水・土壌を介した散布は比較的距離が長く、遺伝構造に大きく影響する可能性があるが、その頻度は、生息地の立地条件、つまり、水流の有無や傾斜地かどうかに影響されると考えられる。 個体群内レベルの遺伝構造に対する立地条件の影響を検討するため、1.水流のない平坦地(幾千世個体群)、2.水流のない傾斜地(日高道)、3.水流のある平坦地(雫石)の3タイプの立地の個体群で遺伝構造を比較した。マイクロサテライトマーカー9座の遺伝子型から個体ペア間の近交係数を推定し、個体間距離との関係を分析した。 ジェネット単位の分析の結果、水流のない個体群には傾斜の有無に関わらず、比較的明瞭な遺伝構造(3m以内で0.05以上の血縁度)が観察されたが、水流のある平坦地では遺伝構造が弱かった(1m以内でのみ0.05以上の血縁度)。ジェネット単位の分析は種子による遺伝子流動を主に反映していると考えられ、水散布が主に種子散布に影響していることが示唆された。一方、同一ジェネット内のラメット間の距離は、水流のある平坦地(1.7%のジェネットにおいて2m以上)に比較して、傾斜地では顕著に長く(24.2%のジェネットにおいて2m以上)、土砂崩れなどがラメットの散布に大きく貢献していると考えられた。
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