Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
円石藻は炭酸カルシウム結晶を主成分とするココリスと呼ばれる燐片を生産し、年間で約1億トンの炭素を固定しているといわれている。ココリスには特殊な酸性多糖が含まれており、これらの有機基質が結晶形成に関与すると考えられているが、ココリス形成の分子機構は依然として未解明のままである。ココリスはゴルジ体由来の特殊な小胞であるココリス小胞(CV)で形成されることが既に明らかにされている。しかしながら、CVに存在する有機基質を対象とした研究は皆無である。そこでCVを単離し、CVに局在する有機物を同定することを試みた。円石藻Pleurochrysis haptonemoferaの細胞を回収し、細胞破砕とショ糖密度勾配遠心分離を用いて細胞内オルガネラの分画を行った。分画条件を検討した結果、酸性多糖が含まれると同時にゴルジ体のマーカー酵素であるIDPase活性の高い画分を得ることに成功した。この画分はCVを含むと予想された。本成果は第9回マリンバイオテクノロジー学会大会で発表した。細胞内における多糖の挙動を調べることによって、多糖のココリス形成への役割を推定することが可能となる。そこで、免疫電子顕微鏡観察を行うことを目的として、P.haptonemoferaのココリスより得られた酸性多糖CMAPの抗体作製を試みた。これまでに抗CMAPポリクローナル抗体作製を試みたが、いずれも抗体価が低く、免疫電子顕微鏡観察には利用できなかった。そこで、本年度は新しいin vitro抗体作製技術(ADLibシステム)を開発したカイオムバイオサイエンス社に抗体作製を依頼した。ADLibシステムでは抗原をビオチン化することが必須であったため、CMAPのビオチン化を検討した。カルボジイミドを介した反応によりCMAPをビオチン化に成功した。こうして作製したビオチン化CMAPを抗原とし、抗体作製作業を行った。2007年3月末日現在、ビオチン化CMAPを認識する抗体クローンが5つ得られている。しかしながら、これらの5種の抗体はビオチンそのものは認識しないが、nativeのCMAPとの反応性も示さなかった。今後、nativeのCMAPを認識する抗体クローンが得られることを期待しているが、今回得られた5種の抗体を活用するためにP.haptonemoferaのTEM試料そのものをビオチン化することも検討している。
All 2006 2005 2004 Other
All Journal Article (10 results)
未来材料 第6巻・4号
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The Journal of Physical Chemistry Part B 109
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Journal of Physical Chemistry B (印刷中)
Thalassas (An International Journal of Marine Science) 20
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Biochemical Journal 384
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Biochemical and Biophysical Research Communications 318
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Biochemical Journal 382
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Earth and Planetary Science Letters 224
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Biochemical and Biophysical Research Communication (accepted)