海洋中深層域における動物プランクトンを中心とした食物連鎖構造とその多様性の解明
Project/Area Number |
04J10394
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
General fisheries
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
山田 雄一郎 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 動物プランクトン / 脂質 / 脂肪酸 / 脂肪アルコール / 食性 / 栄養生態 / 食物網 / 栄養動態 |
Research Abstract |
1.親潮域における中深層性ヤムシ類の脂質・脂肪酸成分 西部亜寒帯太平洋親潮域において数量的に卓越するヤムシ類4種の脂質分析を行った。全脂質量は表層性種のSagitta elegansは乾重量の10%であったが、水深500-2000mに生息する深層性種Eukrohnia hamata、E.bathypelagica、E.fowleriは15-19%と高い値を示した。脂質クラスについては、表層性種では極性脂質が全脂質の58%を占め、深層性種では52-54%をワックスが占めた。脂肪酸・アルコール組成については、表層性種は細胞膜脂質の主成分である高級多価不飽和酸が高い割合を占め、深層性種ではE.hamataとE.bathypelagicaではDHA、EPAおよび短鎖飽和アルコールが多く含まれていたが、E.fowleriがでは植食性かいあし類により合成される高級一価不飽和脂肪酸・アルコールの含有率が高かった。このことから、深層性種には捕食した餌生物の脂質を分解し、体内で再び合成して蓄積するタイプと、餌生物の脂質をそのままの形で体内に蓄積する2通りのエネルギー獲得方法があることが示唆された。 2.親潮域における植食性カイアシ類2種の脂質成分の季節的・個体発生的変化 親潮域において、植物プランクトン増殖期の前後、および冬期に採集した植食性カイアシ類Neocalanus cristatusおよびEucalanus bungiiの脂質成分を各成長段階毎に分析した。N.cristatusは成長が進むにしたがって全脂質量は乾重量の10%から50%にまで増加し、その80%以上をワックスが占めた。一方E.bungiiでは全脂質量は生活史を通してほぼ一定(20〜30%)であり、その主成分はトリグリセリドで、ワックスは含まれていなかった。脂肪酸・アルコール成分について、N.cristatusの初期成長段階ではEPA、DHAが高い値を示したが、後期段階では高級1価不飽和成分がそれらのほとんどを占めた。一方、E.bungiiでは主な成分は16:0、16:1(n-7)およびEPA脂肪酸であり、これらの値は生活史を通してほぼ一定で成長に伴う変化は見られなかった。これら2種のカイアシ類は成長段階の後期に水深1000m以下の深層域に下がって越冬を行うが、その期間中の代謝エネルギー獲得に関する生理学的メカニズムが2種で大きく異なっていることが考えられた。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)