モロッコにおける出産の医療化と地域社会の変動-住民の選択的行動と葛藤-
Project/Area Number |
04J10503
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
井家 晴子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 出産 / 医療人類学 / モロッコ / 母子保健 / 開発援助 / イスラーム / リスク / 妊娠・出産 / 意思決定 / 文化人類学 / 実践 |
Research Abstract |
現在、発展途上国の母子保健分野においては地域住民参加型のプロジェクトが立案・実施されるにいたって、出産の場は地域住民や伝統的出産介助者(TBA)から医師、看護師、行政官にいたる多様なアクターの交渉と葛藤の焦点となっている。私は、このような葛藤の焦点としての出産の性格に着目して、モロッコにおける出産の医療化を事例に、出産における生理学的共通性と文化的多様性、医療化をめぐる錯綜する権力関係、さらにこうした関係のもとで形作られていく人々の価値観を明らかにした。 ここでは、このような複雑な社会状況の下での交渉と、それに基づく出産方法(病院出産か自宅出産か)をめぐる選択に焦点を当て、「医療化」をめぐるローカルな葛藤とそれがもたらす変化を明らかにしようと試みてきた。モロッコ農村部の事例を対象としつつ、先進国における自然出産運動を常に意識しながら調査研究を進め、出産が医療制度に対して持つマージナルな関係と、それゆえもたらされる多様なアクターの交渉場面という、先進国と途上国に共通する側面に焦点を当ててきた。 具体的には、行政、産婦、研究者の各レベルにおける出産に対する意識の違いと彼らの間の関係に注目した。さらに、実際の出産での参与観察を繰り返し、日本とモロッコの双方で重要な基準となる「異常」事態への対処に目を向けてきた。「異常」事態の概念とその制御の仕方は、文化やアクターによって大きく異なるが、医療化が進行する現状においてはモロッコにおいても日本においても重大な「異常」に際しては病院搬送が選択されるという点で、いわば異なるアクターの間の共通点ともなっている。このような差異と共通の二重性に注目し、出産の場で、各行為者がどのように事故を捉え、どのように対応策を提案し、交渉するのか、その中でどのように決定が行われるのかに注目することで、出産のプロセスを捉えようと試みた。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)