ジャック・デリダにおける生産の概念-美学、マルクス主義、脱構築
Project/Area Number |
04J10510
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of thought
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
小森 謙一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2004 – 2005
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
|
Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
|
Keywords | デリダ / 脱構築 / 美学 / マルクス主義 / 思想史 / ジャック・デリダ / 生産 / 哲学史 / ベルナール・スティグレール / 技術思想 / ヘーゲル |
Research Abstract |
今年度は、主として70年代近辺のデリダの思考の特異性を、とくに近代ドイツ思想史を念頭におきながら、生産概念を軸に比較・検討した。 研究の成果としては、論文「Productions en deuil」を執筆・発表し、生産概念に対するデリダのアプローチを明らかにした。ここでは、カント・ヘーゲル・ハイデガーらの生産的構想力の概念を分析し、これをデリダがどのように批判的に考察しているのか、順を追って検証した。デリダの考察にしたがえば、近代の芸術哲学は存在論-神学を前提とし、これは構想力の生産性を特権化することで人間中心主義の論理を確立している。逆にいえば、生産の概念はそのようにしてすでに人間化されており、これをいかにして考え直すかがデリダの課題といえる。このことと関連して、本論文ではさらにマルクス主義の生産概念に対するデリダの異議をも考慮にいれ、脱構築と呼ばれる彼の思考がいかなる点で一貫しているのか、明示すべく努めた。これによって、近代ドイツ思想史からデリダが受けた影響の度合いを明らかにするとともに、そうした哲学的な系譜においてデリダの議論が占める特殊な位置を示すことができた。デリダにおける生産の概念を考える場合、喪というモチーフがもつ比重は非常に大きく、なおかつこれは上記の哲学者たちにはみられない視点であって、彼の思想の特異性は西欧思想史全体の流れのなかで捉え直す必要がある。なお以上の研究成果を踏まえ、生産概念を軸にデリダの著作全体を扱ったより総括的な論文を現在執筆中である。ここでは、マルクス主義と美学それぞれの系譜についてデリダがいかなる脱構築をほどこしているのか、そしてまた彼自身の考える生産の概念とはいかなるものであるのか、明らかにする。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)