強相関系における非線形・非平衡現象および新奇物性の理論的研究
Project/Area Number |
04J10641
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
原子・分子・量子エレクトロニクス・プラズマ
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
岡 隆史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 強相関電子系 / 非線形伝導 / 非平衡現象 |
Research Abstract |
強相関系とは、電子間に強いクーロン相互作用がはたらく物質の総称であり、遷移金属化合物、有機π電子錯体などの物質群が属する。これらの強相関系は、興味深い伝導性や磁性を示すことから、近年、活発な研究がなされてきた。特に最近一次元モット絶縁体の非線形伝導、非線型光応答に関する興味深い実験が最近数多く報告されるようになつた。特に、本研究では、Taguchi et al. (Phys.Rev.B 62)による一次元銅酸化物の非線形I-V特性の計測および、しきい値を越える巨大電場の下での絶縁破壊現象に注目し理論的研究を行った。 1930年代にZenerによって提案され、バンド絶縁体の絶縁破壊を理解する上で重要な役割を果たした量子トンネル効果(Zener tunneling)に注目し、Zener理論のモット絶縁体への拡張を行った。その結果、多体準位間のLandau-Zener遷移によって絶縁破壊が良く説明できることを示した。また、その過程で、電場下のモット絶縁体ではバンド絶縁体とは異なる、多体電子系特有の現象が起きることが明らかになった。一例として、電子間相互作用が引き起こす緩和現象が挙げられる。このため、一度トンネル効果で励起した電子が周囲の電子と散乱することにより局在化し、電気伝導に寄与しなくなるという絶縁破壊の抑制効果が引き起こされる。この局在現象は、エネルギー空間上で考察するとアンダーソン局在と類似の量子干渉効果の帰結と、とらえられることが分かった。この研究成果はPhysical Review Letter誌(2005年3月)において出版予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)