Project/Area Number |
04J10895
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
須磨 航介 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | フーリエ変換型マイクロ波分光 / 二重共鳴分光 / ラジカル分子錯体 / 大気化学 / 水-HO_2錯体 / HOOOラジカル / 分子分光学 / H_2O_3 / 分子錯体 / 分子間相互作用 / マイクロ波分光 / 短寿命分子 |
Research Abstract |
本年度の研究ではフーリエ変換型マイクロ波分光及び二重共鳴分光法を用い、水-HO_2錯体の気相での分光検出に世界で初めて成功した。大気の化学、特に対流圏の化学ではOH、やHO_2ラジカルが中心的な役割を果たすと考えられている。しかし、現在の化学に基づくシミュレーションでは、これらのラジカルの濃度が必ずしも十分な精度で再現されないなどの問題が指摘され、これらのラジカルが実際の大気で果たす役割は未だに十分には解明されていないと考えるようになっている。近年のこうした状況の中で、大気中に水蒸気として大量に存在する水が、これらのラジカルと分子間力で錯体を形成し、ラジカルの反応性を変化させたりするなどにより、大気化学全体に重大な影響を与えている可能性が高いとの見方が強まっている。特に今回観測に成功した水-HO_2錯体は強い分子間力が働くことが理論的に予想されており、HOx化学、さらには大気化学全体に大きな影響を与える可能性があるとされていた。しかし、実験室で検出可能な量のラジカル分子錯体を効率的に生成することは極めて難しく、実験研究がほぼ皆無であり、殆どの研究が理論計算の結果を仮定した予想の域を出なかった。現在の理論計算ではラジカル分子錯体に関する理論計算結果はそれほど高い信頼性は期待できず、この結果を基礎とした提案はやはり信頼性に乏しいと言わざるを得なかった。本研究で初めて水-HO_2錯体の気相での存在が確立されたことで、この錯体が実際の大気で重要な役割を果たす可能性が高いことを示すことができた。実験結果は理論計算の分子構造、結合エネルギーを支持しており、かなりの量の錯体が実際の大気中に生成していると考えられる。(条件次第では大気中のHO_2の約2-3割が錯体の形で存在する。)この可能性は最終的には実際の大気でのモニタリングによって確かめられる必要がある。本研究成果は将来の実際のモニタリングに必要な情報(遷移周波数、遷移強度)を同時に与える。
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