白亜紀黒色頁岩堆積物の高解像度分析にもとづく海洋無酸素イベントの古環境復元
Project/Area Number |
04J10902
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Stratigraphy/Paleontology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
黒田 潤一郎 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 白亜紀海洋無酸素イベント / 有機質黒色頁岩 / 炭素同位体組成 / 鉛同位体組成 / 大規模火山活動 / 生物大量絶滅 / 白亜紀 / 海洋無酸素イベント / 黒色頁岩 / 有機炭素同位体組成 / CO_2脱ガス / 洪水玄武岩 |
Research Abstract |
白亜紀海洋無酸素イベントとは、海洋底に有機質黒色頁岩が汎世界的に堆積するイベントである。このイベントの成因としてさまざまな仮説が提唱されているが、統一見解は得られていない。本研究では9400万年前(セノマニアン-チュロニアン境界)におきた最大級の海洋無酸素イベントOAE-2においてテチス海西部に堆積した「ボナレリ層」という厚さ1mの黒色頁岩層を対象とし、さまざまな手法を用いて化学分析や同位体分析をおこなって、その成因について考察を進めてきた。平成16年度の研究で、有機炭素同位体比を非常に細かい間隔(1.5mm間隔)で測定したところ、ボナレリ層の基底部で急激な負のシフトが見つかり、それが海水の炭素同位体比の変動を反映していることが明らかになった。海洋の炭素同位体比を負にシフトさせる原因として、大規模火山活動による火山性二酸化炭素の大量放出もしくはメタンの大規模放出が考えられる。前者は海洋無酸素イベントの時期が巨大火成岩区の形成時期に近く、両者の関連が示唆されてきたが、地質学的証拠に乏しい状態であった。平成17年度に取り組んだ研究は、炭素同位体比の変動が火山活動によるものかどうかの追求であった。これを評価するため、本研究ではアルミノ珪酸塩鉱物の鉛同位体比に注目した。また、続成段階で壊変した鉛を補正するため、高精度・高確度の鉛、トリウム、ウラン濃度測定法を考案した。得られた鉛同位体比の結果には、炭素同位体比の負のシフトが認められた層準に有意なシフトが記録されていた。興味深いことに、この鉛同位体比はOAE-2の時期に噴出した巨大火成岩区であるカリブ海台とマダガスカル洪水玄武岩の火山岩のもつ鉛同位体比の方向にシフトしており、ボナレリ層の堆積が開始した時に火山岩由来の鉛の供給速度が増加したことを示している。つまり、大規模な火山活動がおきて鉛同位体比や炭素同位体比がシフトし、黒色頁岩の堆積が始まったことを初めて明らかにした。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)