Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
今年度は最終年度であるため,これまでの研究の総括及び成果発表に重きを置いた。(1)郭沫若研究の成果と,(3)三年間の研究を集成する論文として,研究成果として後掲の論文を執筆した。上古史を考える上で無視し得なくなった「考古学」という当時の新しい学問に対する顧頡剛,陳寅恪,郭沫若,傅斯年らの反応と,そこで露呈した各人の学術思想の差異,「考古学」による,中国上古史をめぐる歴史叙述の変化,等について論じた。(2)これまでの研究の改訂及び発展,また補充的研究については,八月に山東省煙台市での「第二回中国近代思想史国際学術シンポジウム」,十月に「2006年度東大シンポジウム--近現代中国と東アジアの公共性--自由と統合をめぐって」,山東大学での「上古史再建の新しいアプローチ及び『古史辨』第一冊出版八十周年国際学術シンポジウム」でそれぞれ報告を行った(全て中国語)。山東省での二回の報告では,1930年代における顧頡剛と傅斯年,費孝通の「中華民族」概念をめぐる議論の比較,顧頡剛と傅斯年,胡適の1928年頃における学術方法論の差異をそれぞれ論じた。前者については,当時の時事的な関心のもとで展開された民族論が,歴史学や人類学などの学術及び歴史叙述といかなる論理的連関を持ったかという問題につながり,後者は昨年の台北での報告を踏まえつつ発展させたものである。十月の東大シンポジウムでの報告では,1948年の中央研究院第一次院士選挙における,学術評価のあり方についての構造分析を行った。この選挙では,胡適,顧頡剛,陳寅恪,郭沫若らが全て当選しており,二十世紀前半期の中国学術の全般的状況から本研究の主要対象人物の位置付けを行う上で,重要な意味を持っていると考えられる。これら報告の成果は,早期に論文として公刊することを目指す。
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