Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
人間の視覚メカニズムにおいて、知覚の形成には視覚的注意が関わっているとされる。目に対する入力は常に情報過多であり、その中から視覚的注意により選択機能が働くことで知覚が成立している。視覚刺激が提示され、その出現を知覚するのに要する時間に対して、視覚的注意がどのような影響を与えるのかを検討した。先行研究より、注意を向けることによって知覚のスピードが速くなるということが知られている。本研究では、心理物理的手法を用いて、この現象の存在をさらに確かめ、どのようなメカニズムで起こっているのかを検討した。先行研究では、先行手がかり法を用いて注意を操作し、注意の有無によって刺激判断の時間特性にどのような影響を与えるのかを検討していた。本研究では、注意をよりダイナミックに操作し、注意量に対して時間的促進量が正比例するのかどうかについて検討した。視覚的注意は、先行手がかり(周辺手がかり)の提示後、増加した後低減するという過渡的な時間特性を持つことが知られている。本研究では先行手がかり(周辺手がかり)とターゲットの提示間隔を操作し、ターゲットにかかる注意量を操作し、時間促進量を観察した。その結果、注意により時間的な促進は得られたが、その促進量は注意量とは関係なく一定であった。同じ注意量操作により、検出感度は正比例していたことから、注意が刺激検出の感度と時間特性に与える影響は異なっていることが考えられる。