Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
前年度までに,起源の明らかにされていない単層カーボンナノチューブ(SWNTs)の励起スペクトル中の様々なサブピークを,ゼラチン薄膜中に配向させたSWNTsの偏光PLE測定実験と同位体実験により,チューブ軸に平行な偏光による励起に伴う励起子-フォノン散乱によるものと,チューブ軸に垂直な偏光による励起によるものに分類した. 本年度は,ゼラチンの影響を排除するために,界面活性剤中に孤立分散したSWNTsをそのまま用いてL-format偏光測定を行い,(7,5)だけではなく他の様々なカイラリティのSWNTsについても軸垂直偏光による励起が存在することを実験的に示すとともに,軸垂直励起による発光のPLマップを作成した.その結果,垂直励起吸収による励起エネルギーは,一電子近似の理論的予測よりも大きくブルーシフトしており,軸垂直励起により形成される励起子の結合エネルギーが小さいことが明らかとなった.また,可視紫外領域の垂直励起吸収は,光励起エネルギーによっては軸平行励起に匹敵する強度を持つことがわかった.さらに,5eV程度の紫外領域までのPLEスペクトルを測定し,光吸収スペクトルと比較した.その結果,半導体SWNTsに対するPLEスペクトルには,光吸収スペクトル中に見られる〜4.5eV付近の特徴的なプラズモン吸収が観測されないことが明らかとなった.また,SWNTsの外部の誘電率と発光エネルギーの関連についても理論的考察を行い,外部誘電率に依存した発光エネルギー変化量の定式化についても行った.これらの成果により,PLマップの全容が明らかとなりつつあり,カイラリティ分布測定法としてのPL測定の確立に向けて大きく近づいたといえる.
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