核融合炉固体増殖材料における水素同位体動的挙動の原子スケールでの解明
Project/Area Number |
04J11515
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Nuclear fusion studies
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
小田 卓司 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手
|
Project Period (FY) |
2004 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
|
Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | 酸化リチウム / 水素同位体 / 拡散 / 分子動力学法 / 照射応答挙動 / 欠陥 / トリチウム増殖材料 / 核融合炉 / 照射応答 / 光電子分光法 / ポテンシャルモデル / 照射欠陥 / F centers / 核融合 / 赤外吸収分光 / 量子化学計算 |
Research Abstract |
平成18年度は,Li欠陥の拡散挙動のモデル化と,Li_2Oの照射応答挙動の分析を行った. 1.Li欠陥の拡散挙動のモデル化 Li欠陥を含むLi_2O中のLi拡散挙動を,分子動力学計算により分析し,古典理論に基づきモデル化した.Li拡散は高温領域と低温領域で異なる様相を示し,前者では超イオン伝導による拡散が,後者ではLi+空孔やLi+格子間イオンが誘起する拡散が支配的であった.超イオン伝導状態では,蛍石構造を持っ結晶と同様に,<100>方向への選択的なジャンプが確認された. Li^+空孔拡散について,有効振動数にVineyardの理論式を用いてモデル化を行った場合に,古典モデルと分子動力学計算の結果は良く一致した.一方で,その簡便性のために広く利用されているデバイ振動数等を有効振動数として採用した場合には,拡散定数が数倍過大評価されることが確認された. 2.Li_2Oの照射応答挙動の分析 2つの異なる特徴を有するポテンシャルモデルを用いて,Li_2Oの弾き出しエネルギーを評価した.弾き出し挙動の細部についてはポテンシャルモデルへの依存が見られたが,いずれのモデルにおいてもLiで20eV,0で50eV程度の弾き出しエネルギーが得られた. 照射で付与された10〜100eV程度のエネルギーの散逸挙動を分析した.照射後1ps程度で照射エネルギーは系の熱エネルギーに変換されることを確認した.欠陥数が定常値に達するまでに要する時間は0.5ps程度であった.この時間スケールは,oではLiに比べて短いことがわかった.この差は,各欠陥が持っ拡散障壁の大きさの相違に由来することが示唆された. 本研究により,核融合炉固体増殖材料候補であるLi_2O中での水素同位体挙動に関して,原子スケールでの詳細な知見が取得されるとともに,欠陥との相互作用ならびに欠陥の生成消滅挙動を含めた包括的な理解が得られた.
|
Report
(3 results)
Research Products
(5 results)