Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
申請者はHTLV-1のTリンパ腫瘍形成モデル糸の確立を目指している。照射したHTLV-1非感染マウスでは胸腺リンパ腫が見られたのに対し、照射後のHTLV-1感染マウスでは脾臓でのリンパ腫形成が多く見られた。二次リンパ器官または末梢T細胞での分化・増殖の過程の中でHTLV-1との関連性があると推察している。またHTLV-1が二次リンパ組織への指向性があるのではないかと更にケモカイン(CCR7/S1P)について検討中である。また長期感染したマウスの二次リンパ器官内での感染細胞のクローン性とプロウイルス量の相関性を調べた。脾臓ならびにリンパ節では総プロウイルス量の変動はあまり認められなかったものの、1クローン当たりのプロウイルスコピー数が増大していたことが判明した。更に初期感染(1ヶ月)で、どの細胞種がクローン性の増殖を帯びているのかをMACSにて細胞選別した所、他のウイルス(HIV-1やCMVではCD8細胞)とは異なり、CD4細胞のみがクローン増殖していた。現在、このCD4細胞群がどのような機能を果たしているのか(Naive/Memory/Effecterなのか)を検証している。またHTLV-1は母乳を介した感染が主であると報告されているが、母乳中にはラクトフェリンを初めとする感染防止物質が存在している。にもかかわらず、HTLV-1感染が成立するといった矛盾点がある。そこでHTLV-1粒子間及び細胞間での感染系におけるラクトフェリンの効果を調べた。HTLV-1の粒子感染系においては、ラクトフェリンによりウイルスの放出量が27%増大した。一方細胞間感染時においては、ラクトフェリンは合胞体形成能を40%減少させ、非感染細胞への感染抑制が認められた。HTLV-1感染は細胞間感染が主な感染形式と考えられている。粒子感染時と細胞間感染時においてラクトフェリンがそれぞれ異なる効果を持っていることが考えられ、現在その詳細について探索中である。
All 2006
All Journal Article (1 results)
Cancer Science 97
Pages: 836-841