Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2004: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究の課題は,東北アジアで満洲を中核として成立し中国に進出した清朝が,中国経済の只中におかれることとなった八旗の生計をいかに保護していたのかを解明することである。私はその課題に通貨問題の側面から取り組み,論文「清,康熙末年から乾隆初年の京師における制銭供給と八旗兵餉-「征服王朝」清朝による八旗生計の保護に関連して-」(『史学研究』第249号)において,銅銭の対銀比価高騰によって八旗生計が打撃を受けていることを清朝中央が問題視し,採算割れにも関わらず京師宝泉・宝源両局の制銭鋳造を拡大し,八旗兵餉への制銭搭放を拡充していったことを明らかにした。さらに,かかる通貨問題・通貨政策が清代貨幣史・清朝貨幣政策史の全体のなかでどのような位置を占めるものなのかを解明するため,各省をも考察対象に含めて,江南の銭貴問題と江蘇・浙江両省の対応を分析した「清代乾隆初年の江南における銭貴の発生と清朝政府の対応」(『東洋学報』第87巻4号),銅銭の使用が極めて限定的であった清初の各省における清朝の制銭供給政策の政策的意図を検討した「清初各省の制銭供給政策-銀の時代の清朝と銅銭-」(『史学』第74巻4号,印刷中),京師や江南で銭貴が問題化していた時期に銅産省である雲南省でいかなる制銭鋳造が行われていたのかを跡づけた「清代雍正年間から乾隆前半の雲南における制銭鋳造の展開」(『社会文化史学』第48号,印刷中)を発表した。 なお,2006年8月には中国第一歴史档案館(中華人民共和国・北京市)において未刊行档案史料である「戸科史書」の調査を行った。前掲「清初各省の制銭供給政策-銀の時代の清朝と銅銭-」はその成果である。
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