Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
この3年間の研究を通して、小児から成人にかけての疲労メカニズムの検討をした。対象は、小児慢性疲労症候群、成人の慢性疲労症候群および8時間の急性精神的疲労を負荷した健常成人の3群とした。小児と成人の疲労状態を表す共通因子は、心電図や加速度脈波(指先から得られた脈波信号の2回微分波形)測定解析により過剰な交感神経活動状態であることと、パソコンの画面上にランダムに配置された1〜25の数字を順番になるべく速く正確に追従するAdvanced trail making testの反応時間は低下することから、注意の選択性の機能低下状態であることが明らかとなった。小児と成人で、共通の脳機能イメージング研究を実施することはできなかったが、小児慢性疲労症候群は脳波(事象関連電位)解析により、脳の情報処理速度および脳活動レベルが低下していることが分かった。成人の慢性疲労症候群も同様に、脳の活動レベルが低下していることがファンクショナルMRI (fMRI)の測定解析により認められた。以上をまとめると、疲労時には、小児と成人に共通して脳の情報処理機能の低下、特に注意機能の低下に伴い、作業能率の低下が引き起こされる可能性が示唆された。また、疲労と意欲に関する質問紙調査の結果から、成人、小児共に疲労度が高ければ意欲も低く、両者は表裏一体の関係にあることが分かってきた。fMRIを用いた先行研究で頻繁に使われる金銭的報酬により賦活される外発的な意欲ではなく、課題の達成感や満足感により賦活される内発的な意欲に着目し、成人のみの結果ではあるが、学習意欲が高いほど、大脳基底核をより賦活させ課題を遂行していることが分かった。これらの結果より、疲労による脳活動低下レベルと意欲中枢の活動レベルを併せて検討することで、疲労と意欲の神経ネットワークが明らかになると考えられる。
All 2006 Other
All Journal Article (5 results)
BioMed Central Neurology 6・9
Pages: 1-15
Journal of Neural Transmission (In press)
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