Project/Area Number |
04J61629
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Neurochemistry/Neuropharmacology
|
Research Institution | Osaka University |
Research Fellow |
高井 里美 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | チロシンリン酸化 / チロシンホスファターゼ / Shp-2 / チロシンキナーゼ / PZR / 細胞接着因子 / 神経幹細胞 / 分化 |
Research Abstract |
動物細胞の増殖・分化などの制御を担う蛋白質チロシンリン酸化反応は、チロシンキナーゼとホスファターゼのバランスによって厳密に調節され、そのバランスの破綻によって浸潤転移等のがん形質が発現されると考えられている。本研究では、こうしたチロシンリン酸化による細胞機能制御の分子機序を解明することを最終目標として、細胞質型チロシンホスファターゼShp-2に焦点をあてて、その本質的な機能と制御機構を解析した。これまでに、成熟組織でのShp-2の機能発現には膜貫通型糖蛋白質BIT/SHPS-1のリン酸化を介する膜へのリクルートが重要であることを明らかにしてきたが、本研究により、発生の初期段階では同じく膜貫通型糖蛋白質であるPZRがより重要な役割を担うことを示唆する新たな知見を得た。PZRは、細胞接着因子様蛋白質で、細胞内ドメインのITIMモチーフを介してShp-2と特異的に相互作用する。PZRが神経系に強く濃縮されかつ神経細胞の発生初期に限定して発現することや、Shp-2が胚発生の制御で必須の役割を担うことから、PZR/Shp-2を介するシグナル伝達系が、動物の初期発生の制御において極めて重要な役割を担うことが示唆された。また、神経細胞の初期発生から神経系の構築に至る過程に焦点をあてて、PZRおよびShp-2の機能を分子レベルで解析した。胎生14日齢のラット脳線状体より培養した神経幹細胞を用いた生化学的な解析から、その神経分化誘導に伴いPZRの発現量が減少すること、またそれと平行してPZRのチロシンリン酸化、Shp-2との相互作用が減弱することが見出された。また、PZRが神経突起の根元付近に濃縮して局在すること、PZRを強制発現することにより神経突起の進展が促進されることなどが明らかとなり、PZRが神経系細胞の分化の初期段階で神経突起進展の制御を担うシグナル伝達系で機能することが明らかとなった。
|