Project/Area Number |
04J83605
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Electronic materials/Electric materials
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
永原 靖治 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2004
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
|
Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Keywords | スピン緩和 / 窒化物半導体 / 量子井戸 / 量子ドット / 相分離 |
Research Abstract |
量子ビットやスピンメモリなど新しい機能デバイスの実現に向けて、半導体中の電子スピンの物性および制御について研究が進められている。電子スピン寿命はそのようなデバイス応用に重要なパラメータの1つである。InGaN量子井戸は青色発光ダイオードの活性層として広く応用されており、電子スピン寿命は発光デバイスにおける偏極状態にも大きく関与する。しかし、InGaNなどウルツ鉱構造においては構造特有の遷移選択則によりスピン偏極を生成することが困難であり、そのためスピン物性に関する報告はほとんどない。そこで、さまざまなIn組成を有するInGaN量子井戸においてポンプ・プローブシステムを用いてスピン緩和時間の測定を行い、スピン緩和と相分離による量子ドット形成について調べた。 本研究では、本年度に円偏光ポンプ・プローブシステムを構築し、室温で初めてInGaN量子井戸におけるスピン緩和の観測に成功した。観測したスピン緩和から電子スピン寿命を見積もったところ、電子スピン寿命はIn組成が高くなるにしたがって顕著に長くなることがわかった。このIn組成依存性は閃亜鉛鉱構造でよく知られたスピン緩和過程とは明瞭に異なる傾向である。 キャリア緩和時間の温度依存性(200K〜室温)を調べたところ、低In組成のInGaN量子井戸では、温度が高くなるにしたがってキャリア緩和時間は速くなる。しかしIn組成が高くなると、キャリア緩和時間は温度に依存しなくなる。これは、高In組成のInGaN量子井戸では相分離によって井戸層内に量子ドットが形成され、散乱過程が抑えられているためである。この量子ドットにおける散乱抑制は電子スピンの長寿命化につながる。 以上のことから、InGaN量子井戸のIn組成を制御することによつて相分離量子ドット形成を通して電子スピン寿命を制御することが可能であると言える。
|