Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
充填スクッテルダイト化合物やクラスレート化合物は,ゲスト原子がカゴ状のネットワークを有した他の元素に囲まれた構造をもつ.このカゴの内側のゲスト原子は,ラットリングと呼ばれるオフセンターの非調和振動状態にあり,このラットリングにより音響フォノンが散乱されることによる極めて小さな熱伝導率から,クラスレート化合物は良質な性能指数をもつ熱電変換材料として期待されている.しかしながら,ラットリング効果や,その磁性との混成効果は必ずしも明らかではない.我々は,クラスレートR_8A_<16>B_<30>物質群(Rがゲスト原子)に着目した.これまでに,非磁性クラスレートBa_8Ga_<16>Sn_<30>におけるラットリングを観測し,その対称性,緩和時間,励起エネルギー等がわかっている. 平成17年度は,あらたに単結晶が育成された非磁性クラスレートSr_8Ga_<16>Ge_<30>とゲスト原子が磁性をもつクラスレートEu_8Ga_<16>Ge_<30>におけるラットリングを調べるために,弾性率及び超音波吸収を測定した.高周波領域の測定の為に,高周波用電気-音響変換素子を購入した.その結果,Sr_8Ga_<16>Ge_<30>においては,弾性率C_<44>,及びそれに対応する超音波吸収でラットリングを示す周波数依存性がみられ,解析の結果,ラットリングの緩和時間は7.0×10^<-12>s,励起エネルギーは285K,オフセンター距離は0.28Åであることがわかった.ラットリングの対称性はΓ_5であると考えられる.また,Eu_8Ga_<16>Ge_<30>においては,弾性率(C_<11>-C_<12>)/2,及びそれに対応する超音波吸収でラットリングを示す周波数依存性がみられ,ラットリングの緩和時間は6.0×10^<-11>s,励起エネルギーは420K,オフセンター距離は0.63Åであることがわかった.ラットリングの対称性はΓ_3であると考えられる.以上の結果から,クラスレートSr_8Ga_<16>Ge_<30>及びEu_8Ga_<16>Ge_<30>におけるラットリングを観測し,その対称性,緩和時間,励起エネルギー,およびオフセンター距離がわかった.
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