日本・ロシア共同による・中央アジア出土 イラン語文書の研究
Project/Area Number |
05044003
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Research Category |
Grant-in-Aid for international Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | Joint Research |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊本 裕 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (80107523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIVSHITS V.A ロシア科学アカデミー 東洋学研究所, 主任研究員
DESYATOVSKAY ヴォロビョー ウ ロシア科学アカデミー 東洋学研究所, 写本部主任
吉田 豊 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (30191620)
VOROBYOVAーDE ロシア科学アカデミー, 東洋学研究所, 写本部主任
VOROBYOVAーDE ロシア科学アカデミー, 東洋学研究所, 写本部主任
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Project Period (FY) |
1993 – 1995
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1995)
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Budget Amount *help |
¥7,500,000 (Direct Cost: ¥7,500,000)
Fiscal Year 1995: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1994: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1993: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Keywords | コ-タン・サカ語 / ソグド語 / イラン語 / 中央アジア / 写本 / サンクト・ペテルブルグ / レニングラード / ロシア / 敦煌 / ペテルブルグ / 東洋学研究所 |
Research Abstract |
「日本・ロシア共同による中央アジア出土イラン語文書の研究」は、1980年代末のペレストロイカによるロシアの急速な政治的・文化的自由化の進行という情勢に基づいて計画された。旧ソ連体制下で日本の研究者にほとんど実見の機会が与えられていなかった、レニングラード(のちサンクトペテルブルグ)の科学アカデミー東洋学研究所所蔵の中央アジア出土写本の豊富なコレクションを実地調査すると共に、同じく国外への旅行が厳しく制限されていたロシアの研究者を日本に招聘して、中央アジアを専門領域とする日本の言語学・歴史学・宗教学者と交流を図り、また量的にははるかに少ないが貴重な遺物を蔵する大谷蒐集品(龍谷大学蔵)を比較調査してもらう、という双方にとって極めて有益な活動を実現することを目的とした。 1991年に予備調査で当時のLeningradに赴いた熊本(研究代表者)は、ロシア側のVorobyova-Desyatovskaya及びLivshitsと協議の結果、大筋の計画に合意し、3年計画の科学研究費国際共同研究を申請して、これが承認された。 計画初年度の1993/94年は、熊本(研究代表者)と吉田(研究分担者)が、ペテルブルグの東洋学研究所で調査を行ない、Vorobyova-Desyatovskaya(研究分担者)が来日して、東京と神戸で在ロシアの中央アジア出土写本について4回の講演を行うとともに、京都の龍谷大学で大谷探検隊蒐集の写本の調査を行なった。 計画2年目の1994/95年は、熊本と吉田が再びペテルブルグを訪れて前年度の調査を続行し、Livshits(研究分担者)を日本に招聘すべく準備を整えたが、不幸にして来日直前にLivshitsの入院という事態により年度内の来日は不可能となり、代わりに吉田が年度末に3度目のペテルブルグ訪問を行なうこととなった。 計画3年目の1995/96年は、前年度に来日できなかったLivshitsとVorobyova-Desyatovskayaの2人を招聘する予定で準備を行なったが、Vorobyova-Desyatovskayaの来日はビザ申請手続上の問題から、当初の予定の10月から2月に延期され、またLivshitsの来日も、すべての準備が整った出発直前の段階で急病のため中止となった。その代わりに熊本が、1月に3回目のロシア訪問をして、最後の調査を行なうことが出来た。 ペテ
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ルブルグは旧帝政ロシアの首都で、東洋学研究所の前身のアジア博物館は19世紀末から第1時世界大戦までの期間に、ロシアが中央アジアに派遣した探検隊の成果を全て納め、ロンドンの大英博物館、パリの国立図書館と並ぶ中央アジア写本の宝庫である。今回の調査の研究代表者・分担者は、中でも中世イラン語を専門とする(熊本とVorobyova-Desyatovskayaがコ-タン・サカ語、吉田とLivshitsがソグド語)。東洋学研究所に所蔵されるコ-タン・サカ語とソグド語の写本は、ソビエト時代に部分的に出版されたとはいえ、研究に不可欠な写真版はほとんどの場合極めて質の悪い印刷で、出版された写本の実物を見ることは許されず、また未出版のものがどれほどあるかも不明で、蒐集の全貌は掴みようがなかった。今回の調査はロシア側の研究者の協力を得て、Petrovsky蒐集及びMalov蒐集のコ-タン・サカ語写本、Oldenburg蒐集のコ-タン・サカ語及びソグド語写本、Krotkov蒐集のソグド語写本の全貌を日本の研究者の前に明らかにしようとするものである。この調査と同時進行中でだった、ドイツ・ロシア共同によるコ-タン・サカ語写本の写真版出版の計画も与って力あり、広大な保管庫の中で必ずしも正確に分類収納されていなかった多くの写本断片が新たに見出されて、補修作業を経た結果、新しい分類番号の元に写真撮影されることとなった。中でも特筆すべきは、今までまったくその存在を知られておらず、分類番号も与えられていなかった数点のかなり大きなコ-タン・サカ語と中国語の2言語文書である。そのうちの1点はほとんど類例を見ない完全な2言語による契約文書で、全テクストが二つの言語で交互に書かれているものである。このユニークな文書の研究は、綿密な解読と解釈を経た上で、近い将来に東洋学研究所発行の英文誌Manuscripta Orientaliaに出版する予定である。ソグド語写本に関しては、吉田の調査の結果、Krotkov蒐集のウイグル語(古代トルコ語)写本として分類されていたものの中に相当数のソグド語の断片が存在する(ほぼ同じ文字を使用しているため、見かけ上間違って分類されやすい)ばかりでなく、敦煌出土とされてДx(敦煌の頭文字)の分類番号と与えられていたものの中に、明らかにトゥルファン出土のソグド語文書があることが判った。 これらの成果の出版は、すべて東洋学研究所の正式の許可を必要とし、またロシア側が同研究所の出版物に掲載することを望んでいるため、原則として英文で発表する予定である。 Less
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Research Products
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