Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野田 裕治 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10165128)
菅沼 雅美 埼玉県立がんセンター, 研究所, 研究員 (20196695)
島 礼 国立がんセンター, 研究所, 室長 (10196462)
田村 眞理 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (20124604)
武田 誠郎 広島大学, 医学部, 教授 (40030853)
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Budget Amount *help |
¥18,200,000 (Direct Cost: ¥18,200,000)
Fiscal Year 1993: ¥18,200,000 (Direct Cost: ¥18,200,000)
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Research Abstract |
菊池らは,セリン/スレオニン残基特異的プロテインホスファターゼPP1について次の点を明らかにした。 1)腹水肝癌細胞でPP1のイソホームPP1αのmRNAが特異的に上昇する。2)腹水肝癌細胞でPP1αの酵素蛋白が,検索した細胞株すべてにおいて例外なく高発現していた。3)再生肝では,術後12時間のG1/S移行期で,核内PP1活性が特異的かつ一過性に上昇する。4)EGF刺激後の初代培養肝細胞でも,EGF刺激後40時間のG1/S移行期に一過性にPP1活性の特異的上昇を観察した。5)この核内活性上昇の機序は,翻訳段階での亢進と核内移行後の2次修飾による活性化の2つが考えられる。6)IL-2によるT細胞刺激では,刺激後5,10,15分とPP1型活性の低下がみられた。このPP1活性の減少は可逆的かつ一過性で,可溶画分についてのみ見られ,顆粒画分では不変であった。またPP2A,PP2Cは不変できわめて特異的であった。以上より本酵素の癌性変異の特徴は,特定の分子種PP1αについて転写レベルの亢進によるもので,その結果として翻訳段階でも上昇が認められた。この点,正常組織である再生肝やIL-2による増殖刺激でみられる応答と機構を異にする。菅沼は本酵素阻害剤ノデュラリンやマイクロシスチンが,junやfosなどの初期応答遺伝子を誘導することを初代培養肝細胞で見いだした。武田はPP2Aの新しいホロ酵素を分離精製した。田村はPP2CβのcDNAの塩基配列を決定した。島はPP2Aの制御サブユニットのクローニングに成功し,腫瘍での発現を調べ,久野は制御サブユニットのクローニングを行った。チロシンホスファターゼでは,野口はLRPのアンチセンスDNAを導入して脱癌を観察し,日野田はPTPG1により逆に悪性形質の増大を観察し,分子種により発癌・制癌の両方向に作用し得る。矢倉は分化過程で異なる効果を観察した。伊藤はミオシン結合型PP1の組織化学,小林はPP2Cのリン酸化部位を推定した。
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