エイズウイルスの感染性と複製に関与するT細胞内プロテアーゼ群の作用機序の解析
Project/Area Number |
05262209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50144978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大下 健幸 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助手 (30185243)
唐渡 孝枝 徳島大学, 酵素科学研究センター, 助教授 (60108876)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Keywords | HIV / gp120 / V3ループ / CD26 / トリプターゼTL_2 / GP160 / Furin |
Research Abstract |
我々はこれまでに、エイズウイルス(HIV)がCD4陽性細胞に感染して増殖する際に少なくとも二種類の細胞内プロテアーゼが重要な役割を果していることを明らかにしてきた。第一のプロテアーゼはHIVの感染する細胞膜上に局在するCD4以外の新しい受容体(トリプターゼTL_2)で、HIVの標的細胞認識と膜融合プロセスに重要な役割を果していると推定される。第二のプロテアーゼは宿主細胞のゴルジ膜に局在するプロテアーゼで、HIV外膜糖蛋白前駆体gp160をgp120とgp41に成熟させる酵素である。本年度の研究において、トリプターゼTL_2は、HIV外膜蛋白gp120の中を感染に必須な領域のV3ループを限定分解し、これにより新たにN末端に出現したアミノ酸配列のGlycyl-Prolineがアミノペプチダーゼ作用を持つCD26によって取り除かれ得ることを、合成したV3ループによって証明した。近年CD26がHIV感染に必須の因子であることが報告されており、我々の研究では感染細胞膜上でトリプターゼTL_2とCD26が共同して作用する可能性を明らかにした。また本年度の研究においてHIV gp160の成熟酵素を人のT細胞より精製することに成功した。このプロテアーゼは、これまでに成熟酵素の1つとして推定されていたFurinと異なり、Ca^<++>によって活性化されないゴルジ膜上のプロテアーゼである。我々はT細胞内のCa^<++>レベルの変動がHIV gp160の成熟とgp120の細胞膜への輸送に影響を与えないことを証明した。このことはT細胞内での主要なgp160の成熟酵素がFurinではなくCa^<++>非依存性の本酵素であることを示している。以上の結果を基に、今後これまで不明であったHIV感染の初期過程の解析と有効な感染阻止法の開発を試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)