ウンマの多角的研究-ウンマの宗教的意味と宗教社会学の新たな展開-
Project/Area Number |
05610033
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Religious studies
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Research Institution | Kyoto Women's Junior College |
Principal Investigator |
小田 淑子 京都女子大学短期大学部, 助教授 (80169317)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | イスラーム / ウンマ / 宗教共同体 / 宗教社会学 |
Research Abstract |
(1)文献収集:文献収集は十分に行うことができた。イスラーム関連図書は研究書を含め、幅広く購入した。他方、学内に未収集の宗教社会学、社会学の基本文献を購入し、共同体理論、特にウェーバーやデュルケムに関する最近の研究書を収集することができた。またイスラーム世界以外の地域研究、文化人類学的研究などを文献も、比較研究のために積極的に収集した。結果として、図書購入費が予算をかなり越えてしまった。 (2)当初意図した観点のうち、近現代のムスリム学者によるウンマ論についてはある程度整理することができた。他方、宗教社会学や文化・社会人類学における共同体、集団および制度についての研究に関しては、具体例研究と理論を数多く検討することができた。なお、昨年(93年)以来イスラーム世界で中東和平やボスニア・ヘルツェゴビナの紛争が続き、これらに関する評論や批評が多く発表された。それは現代の具体的状況下でのイスラームの在り方、特にウンマの考察に必要な要素を提起しており、今後の考察に加えたい。 「宗教と社会」学会の第一回大会に参加し、各地・各宗教に見られるフアンダメンタリズムをめぐるシンポジウムに参加し、フロアーから質疑・討論に加わった(このシンポジウムの記録は近く出版される)。また日本宗教学会でも、宗教共同体理論に関する発表を行った。 (3)新たな知見と今後の研究:第一に、世界宗教といえども、その共同体の現実或いは信仰者の帰属意識は身近な地域や文化圏(典型的には国家)に求められるのではないだろうか。従来の教団論には欠けていたこの問題点を今後考えたい。第二に、従来の理論による古代・民俗宗教の存続・伝統のメカニズムにはなお検討する余地がある。このメカニズムの解明は、厳密な意味で制度化されなかったイスラームのウンマの解明にもつながるだろう。というのは、イスラームは世界宗教で、その基盤を民族や地域社会に求めることはできないが、その歴史的存続のメカニズムは教団を持たない宗教の存続と関係していると予測されるからである。第一点はウンマの具体的な基盤を捉え直し、イスラームの地域差の考察を目的とし、第二点は、ウンマの全体的な存続、イスラームの統一性の考察を目的とする。互いに矛盾するが、ウンマ論を立体的に解明するには双方の観点が必要である。これらの展開は今後の研究で行ないたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)