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『紫明抄』を中心とした源氏物語注釈史の研究

Research Project

Project/Area Number 05610360
Research Category

Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)

Allocation TypeSingle-year Grants
Research Field 国文学
Research InstitutionFukuoka Women's University

Principal Investigator

田坂 憲二  福岡女子大学, 文学部, 助教授 (70136406)

Project Period (FY) 1993
Project Status Completed (Fiscal Year 1993)
Budget Amount *help
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1993: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Keywords紫明抄 / 水原抄 / 素寂 / 河内学派 / 源氏物語研究史
Research Abstract

素寂の源氏物語注釈書『紫明抄』については、従来京都大学本が最善本として専ら使用されてきたが、他にも内閣文庫に三種類など、約十本の伝本がある。今回これらを総合的に調査した結果、内閣文庫蔵三冊本(内丙本)の特異な形態が浮び上がった。その特性を一言で言えば、京大本などが整備された再稿本(精稿本)的存在であるのに対して、内丙本は初稿本的位置にあるということである。例えば、内丙本には、源氏物語の難解な本文部分を引用して注釈を意図しているものの、具体的に勘注を記すに至らない箇所がかなり存する。それらは今日の注釈書でも解答を見出せない。解釈の困難な部分が多く含まれている。従ってその箇所を指摘したという点において、内丙本の注釈書としての水準の高さが窺えるのである。一方、京大本にはこれらの箇所が存しないのである。考察を重ねた結果、満足のいく解答を得られなかったために、最終的には項目自体が削除されたのであろう。他に補強的な材料もあり、内丙本は初稿本と再稿本との関係にあると断じてよい。
内丙本は初稿本には今一つ重要な要素がある。それは『紫明抄』諸本の中では『水原抄』に最も親近性を有するという点である。素寂は河内学派の中でも、兄の親行や甥の聖覚と対立していたため、親行が大成した『水原抄』と異なる説を多く打ち出す必要があった。しかしその一方で、源氏学者として共通の研究地盤に立脚しているから、『紫明抄』は『水原抄』的なものから出発し、次第に独立性を獲得していったのである。従って初稿本の内丙本には色濃く残っていた『水原抄』の影響が、再稿本の京大本ではその色彩を一層薄めるに至るのである。このように、初稿本から再稿本へという視点から『紫明抄』を捉え直すとき、素寂の学問形成や河内学派内の対立事情、『紫明抄』の生成過程など、多くの問題を明らかにすることができる。

Report

(1 results)
  • 1993 Annual Research Report
  • Research Products

    (2 results)

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All Publications (2 results)

  • [Publications] 田坂 憲二: "内閣文庫蔵三冊本(内丙本)『紫明抄』について" 香椎潟. 39. 1-12 (1994)

    • Related Report
      1993 Annual Research Report
  • [Publications] 田坂 憲二: "『水原抄』から『紫明抄』へ" 汲古書院刊『源氏物語古注釈の世界』. 163-187 (1994)

    • Related Report
      1993 Annual Research Report

URL: 

Published: 1993-04-01   Modified: 2019-02-28  

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