Project/Area Number |
05620012
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Public law
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
萩野 聡 富山大学, 経済学部, 教授 (60125341)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 暫定的行政行為 / 行政行為 / 授益的行政行為 / 行政の行為形式 |
Research Abstract |
1、近年、行政の行為形式をめぐって、わが国および(旧西)ドイツにおいて、活発な議論が展開されている。その一つとして、西ドイツ連邦行政裁判所1983年4月14日判決(いわゆる“スキムミルク事件")は、“暫定的行政行為(Vorlaufige Verwaltungsakte)"=“暫定的給付決定"という新たな概念を給付行政に導入した。この「暫定的行政行為」は、たとえば、行政庁が補助金給付決定等の授益的行政行為を、後に再審査に基づく最終的決定を行うという留保の下で発する場合等に問題となる。 2、本研究では、議論の蓄積のある(西)ドイツの学説や様々な個別諸領域の判例を素材として、暫定的行政行為に関する以下の諸問題を検討した。(1)暫定的行政行為概念は法的に成立可能か、(2)その法的性質、(3)他の法行為との区別(特に、解除条件、撤回権の留保、職権取消との相違)、(4)暫定的行政行為の法的根拠の必要性の有無、(5)暫定的行政行為の法的・事実的要件等の探求など。 3、検討の結果、(1)暫定的行政行為の特徴は、最終的な事実展開や事実確定前に、後に最終決定が行われるという留保の下で、かつ、その暫定性に対応して規律の程度も弱められて発せられるという点にあること、(2)他の法行為とは区別されること、(3)典型的な行政行為の法効果と相違しているため、当該行為が行政行為として位置付けられるか否かについては見解が別れているが、それを積極的に解し行政法上の新たな行為形式論の展開を図る議論もあること、(4)その法的根拠についても、憲法、実体法、行政手続法等の観点から、種々議論されていることなどが、明らかになった。(5)なお今後、積み残した諸問題の検討、ドイツにおける議論の推移の追跡、それらを踏まえた新たな行為形式論、行政行為論、行政法の理論体系の構築などを計画している。
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