Research Abstract |
Posnerの結果([1]Theorem 2)はいろいろな方向に拡張されてきた。その1つは環の導分(dorivation)の概念を一般化することによるものであるが、ここではGy Maksaにより導入された対称的両側導分(symmetric bi‐derivation)を有する環に関するJ.Vukmanの結果([2]Theorem 2;これは標数が2でない素環についての結果である)を次のように2つの方向に拡張・発展させた。以下、Rを環、D:R×R→Rを対称的両側導分(つまり、両側加法的かつ対称的写像でRの各固定された要素yに対しx→D(x,x)が導分であるもの)とする。この時、次の2つの結果を得る。1つは、 定理1.Rを2トーション要素を有しない非可換な半素環、IをRの零でない両側イデアル、そしてD:R×R→Rを対称的両側導分とする。もし、Iの各要素xに対して[D(x,x),x]がRの中心に入れば、[D(x,x),x]=0である。 他の1つは、 定理2.Rを標数が2でない非可換な素環、IをRの零でない両側イデアル、そしてD:R×R→Rを対称的両側導分とする。もし、Iの各要素xに対し、 [D(x,x),x]がRの中心に入るならば、D=0である。 これはJ.Vukmanの質問([2])にも答えているものである。更に、これらの結果に関して、次のような問題を提起した。つまり、IがRの零でない片側イデアル、あるいはLie次のような問題を提起した。つまり、IがRの零でない片側イデアル、あるいはLieイデアルの場合でも定理1および定理2は成り立つか。これらは今後の課題となる。 以上の結果はOn a theorem of J.Vukmanという表題の論文にまとめて現在投稿中である。 参考文献 [1]E.C.Posner:Derivations in prime rings,Proc.Amer.Math.Soc.8(1957). 1093‐1100. [2]J.Vukman:Symmetric bi‐derivations on prime and semi‐prime rings,Aequationes Math.38(1989),245‐254.
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