Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
ヒト口腔より黄色ブドウ球菌の分離をおこなったところ,被検者の33%が黄色ブドウ球菌陽性であった。コアグラーゼ型はII,III,V,VII型が多く検出された。エンテロトキシンは40%の株が産生し,型に関してはA,B,C型が多く検出された。表皮剥脱毒素は19%の株が産生した。分離株の抗菌薬感受性は感染病巣よりの分離株に比べれば良好なものの,一部ではメチシリン耐性を示していた。以上の結果より,口腔に常在する黄色ブドウ球菌も病原性の面からは注意が必要であり,特にメチシリン耐性株が増加していることは今後の対策の必要性を示している。 また分離株を用いてヒト由来HeLa細胞に対する付着実験を行い,付着に関与する菌体側の因子の分離を試みた。細胞壁成分を分離しその付着に対する阻害活性による検出が困難であったため,全菌に対するウサギ抗血清を作成し,此の血清および蛍光標識抗ウサギIgGを用いて細胞表面に付着している細胞壁成分の検出を行った。各種カラムクロマトグラフィーを用いて分離を試みたところ,付着する成分は極めて酸性の物質であった。また最終的に得られた付着成分にはタンパクは含まれていなかった。以上のことから黄色ブドウ球菌のHeLa細胞に対する付着因子はタイコ酸であると思われた。タイコ酸は共存下で黄色ブドウ球菌の付着を阻害し,HeLa細胞に対する付着に飽和および可逆性が認められたことから,特異的な付着因子であることが示された。
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