Project/Area Number |
05740197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 達生 東京大学, 教養学部, 助手 (00242016)
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Project Period (FY) |
1993 – 1994
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1994)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 共役系高分子 / ポリシラン / 一次元励起子 / 三次非線形感受率 |
Research Abstract |
本研究は、大きな三次非線形感受率を有し、将来の光非線形素子の材料の候補として注目を集めている共役系高分子、中でも、主鎖がシリコン原子によって構成され、試料も良質のものが得られるポリシラン(PS)について、非線形光学特性の実験的研究により、その特異な光励起状態、すなわち一次元的な励起子状態を解明し、これによって、その大きな光非線形応答の起源を明らかにすることを目的としている。本年度得られた研究実績は以下の通りである。 I.PSは、側鎖の種類によって、主鎖構造、主鎖電子状態の異なるものを得ることが出来る。本年度は、代表者等が以前に行った、最も典型的な主鎖構造のPDHSの非線形光学スペクトル測定を、種々のPSについても適用し、主鎖構造の変化が一次元的な励起子状態に如何に反映されるのかを調べた。その結果、得られた非線形光学スペクトルに、PDHSと同様な一次元的な励起子状態への多光子共鳴構造を確認することが出来た。 II.主鎖構造の変化に伴う励起子状態の系統的な変化の由来を明らかにするために、1.で得られた非線形光学スペクトルの解析、及び解析結果と一次元励起子モデルによる理論計算との比較を行った。その結果、PSの一次元励起子状態では、一次元系における強い励起子効果のために、電子-正孔の相対運動が強く束縛され、局在しているという実験的な証拠を得ることが出来た。さらに、上記結果をもとに、より大きな光非線形感受率を有する材料を得るには、この相対運動の非局在化が肝要で、そのための物質設計に指針を提案した。 III.実験的に得られた非線形光学スペクトルにおいて、線形光学スペクトルと同様なクラマ-ス-クローニヒの分散関係式が実際に成立しているのか確認しておくことは、応用上重要である。本研究では、PDHSの絶対値、位相スペクトルの実験結果がこの関係を満たしていることを確認した。
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