層状結晶中の擬2次元励起子の超高速光学非線形現象の動的ふるまい
Project/Area Number |
05740208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
赤井 一郎 大阪市立大学, 理学部, 助手 (20212392)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 層状結晶 / 光学非線形性 / 励起子 / 2次元 / 積層欠陥 / 吸収飽和 / 緩和過程 / 極短時間 |
Research Abstract |
層状結晶BiI_3には、種々の積層欠陥に起因した励起子遷移が現れる。マクロな領域に広がった積層欠陥に束縛された励起子(積層欠陥励起子)。ポリタイプに関係した局在励起子遷移。結晶への歪みを加えることによって、新たに成長する励起子遷移帯。本研究では、これらの励起子遷移の光学非線形効果を高エネルギー及び高時間分解能の条件で調べた。本研究で明らかになったことをまとめると次のとおりである。 1.ポリタイプに関係した局在励起子遷移では、吸収飽和分光を行った。その結果、吸収飽和密度の入射光エネルギー依存性に特徴が現れた。吸収飽和密度は共鳴近傍で減少し、離調するにつれ増加した。このことより、この遷移線が均一幅を持った局在励起子によるものであることが明らかになった。 2.積層欠陥励起子では、測定した励起強度の範囲内で顕著な吸収飽和は観測されなかった。この結果より、積層欠陥励起子が擬2次元面内で自由に運動する為、吸収飽和を起こすにはより強い光強度が必要であることが分かった。 3.歪み誘起の励起子遷移帯については、吸収飽和分光、発光スペクトルの強励起効果、フェムト秒領域における過渡吸収分光を行った。この遷移帯で観測された吸収飽和密度の入射光エネルギー依存性は、前出の局在励起子線と異なった振る舞いが見受けられた。この違いは、吸収飽和密度が、結晶中に歪みによって生成されたメゾスコピックな領域の大きさに依存しているためと考えられた。また、フェムト秒の過渡吸収分光から、極短時間の間にメゾスコピックな領域の間でエネルギーのやり取りがあることが明らかになった。発光スペクトルの強励起効果から、励起強度に対し非線形に成長する、新たな発光帯を発見した。この発光帯は、光強励起によって励起子の2粒子状態が生成され、そこからの発光ではないかと考えられた。 これらの結果の一部は、本年度フランスで開かれた国際会議(OECS93)で発表を行った。また、日本物理学会(1993秋分科会12pDD5,1994春年会28aH11,等)でも発表を行った。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)