アミロプラストの分化過程における色素体遺伝子の発現制御とその分子機構
Project/Area Number |
05740476
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物生理
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
酒井 敦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30235098)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1993: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | タバコ / 培養細胞 / 色素体核 / in vitro転写系 / 転写制御 / 原色素体 / アミロプラスト |
Research Abstract |
タバコ培養細胞BY-2は、オーキシン(2,4-D;0.2mg/l)を含む通常培地中では未分化な原色素体をもつが、オーキシンを含まずサイトカイニン(BA;1mg/l)を添加した改変培地に植え継ぐと、細胞内の色素体は大量のデンプンを蓄積し、約48時間でアミロプラストへと分化する。このアミロプラスト分化誘導系を用いて、アミロプラストの分化過程における色素体遺伝子の発現制御様式を解析した。アミロプラスト分化過程では細胞数はほとんど増加せず、細胞当たりの色素体数、色素体DNAコピー数も分化過程を通じてほぼ一定であった。この過程における色素体遺伝子の転写活性の変化を調べるため、経時的に色素体核を単離し、そのin vitro転写活性を測定した。単位DNAあたりの転写活性は誘導開始6時間後に一過的に上昇した後急速に低下し、48時間後には誘導開始時の25%程度に減少した。9種類の代表的な色素体遺伝子の転写活性の変動をハイブリダイゼーションにより調べたところ、atpA,atpB,rpoB,petB,rbcL,rpl16,23SrRNA遺伝子の転写活性は一過的に上昇した後、誘導開始時の数%にまで減少するが、psbA(光化学系II反応中心32kDaタンパク質遺伝子)とpsaA-B(光化学系Ip700アポタンパク質A1/A2遺伝子)の転写活性はアミロプラスト分化過程を通じて比較的高く、誘導開始時の30-50%に保たれることが分かった。さらに、色素体転写産物蓄積量の変化を調べたところ、多くの色素体遺伝子の転写産物量は誘導開始直後に一過的に上昇した後、そのまま一定の値を保つか漸減したのに対し、psbaおよびpsaA-B転写産物量はアミロプラスト形成過程を通じて増加を続けた。転写産物蓄積量の変化とin vitro転写活性の変化は概ね一致する。しかし、多くの色素体遺伝子の転写活性が著しく低下した後においてもそれらの転写産物量は比較的一定のレベルを保っていることから、アミロプラストにおける転写産物の分解速度は極めて遅いことが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)