Research Abstract |
血中成長ホルモン結合蛋白(hGHBP)の定量測定系の確立とその応用:リコンビナントのhGHBP標準品,及びhGHとGHBPとの結合を阻害しない抗ヒトhGHモノクローナル抗体が入手できたので,これまでの測定系をより精度が高く定量的なものに改良した.さらに,この系は試料をGHで飽和しなくとも内因性のGHと結合しているhGHBPをも検出することが可能であった.本年度の検討では上記の系を用いGHで飽和したものを総GHBP,飽和せずに測定したものを結合GHBPとし,正常小児および生体部分肝移植を受けた小児を初めとする種々の病態での変動につき再検討した. 正常小児における総GHBP値は,1才までは測定感度(0.8ng/ml,30.7pmol/L)以下の低値であるがその後徐々に増加し始め8才以後は成人の値とほぼ同等となった.肥満児では同一年齢の児に比べ高値を,糖尿病児では低値を示し糖代謝とGHBPとの関連が示唆された.結合GHBPについてはその年齢分布,総GHBPとの比について検討したが特定の傾向は認められなかった. 肝移植を受けた10例(男児5例,女児5例)について,移植前後で経時的にGHBPおよびIGF-Iの変化を観察した.移植前のGHBP値は4例において低値を示した.この値は黄疸の有無とは関連がなかった.移植後1ヵ月には総GHBPの有意の増加を認め,6ヵ月後には1ヵ月時より多少低値の傾向となるものの移植前値との間に有意差が認められた.結合GHBPは経過を通じほぼ全例が測定感度付近あるいはそれ以下であり,正常小児と同じく特定の傾向を認めなかった.肝移植後の成長との関連についてはもう少し観察期間を長くして検討する予定である.(本研究の一部は第4回米国小児内分泌・欧州小児内分泌合同会議にて発表した)
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