Research Abstract |
乳癌細胞表面に発現する接着因子について悪性度判定の指標としての意義を検討した 対象は過去3年間の原発性乳癌27例である.このうち9例に再現を認めた. 接着因子として抗CD44抗体と抗ICAM-1抗体を用いた免疫組織染色法で原発巣での発現を検索し、再発との関連をみた.また免疫蛍光法にてリンパ節再発巣でのCD44抗原の発現を観察した.CD44およびICAM-1の陽性率はそれぞれ4%,11%であった. CD44の発現とt,n,ly,u,ERとの間に関係はなかった.再発率はCD44陽性群45%、陰性群25%でICAM-1ではそれぞれ67%,29%であった.CD44陽性例と陰性性との間で累積健存率に有意な差をみとめた.一方再発様式別ではCD44はリンパ行性100%血行性20%,ICAM-1はそれぞれ25%,20%に発現を認めCD44はリンパ行性転移と深い関連があった. 乳癌細胞表面のCD44抗原の発現は以下の理由により有用な悪性度判定の指標である. (1)ICAM-1の発現率は低いがCD44の発現率は41%と高い.(2)臨床病理学的因子間と関連がなく独立した因子と考えられる.(3)CD44抗原の発現と異積健存率に有意な関連が認められ.とくにリンパ性再発との関連が示唆される。
|