大理石骨病モデルマウスを用いた破骨細胞の骨吸収機構の解析
Project/Area Number |
05771525
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Functional basic dentistry
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
宇田川 信之 昭和大学, 歯学部, 助手 (70245801)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 骨吸収不全 骨芽細胞 / 破骨細胞 マクロファージ / 大理石骨病 カルシトニンレセプター / ビトロネクチンレセプター / プロトンポンプ |
Research Abstract |
Osteosclerotic (oc/oc)マウスは、骨吸収の不全によって惹起される大理石骨病のモデルマウスである。我々はこれまでに、oc/ocマウスの骨吸収不全の原因を検索するため、oc/ocマウスから骨芽細胞と脾細胞を調整し、破骨細胞形成のための共存培養を行った(BBRC 184:67,1992)。その結果、正常骨芽細胞との共存培養において、oc/ocマウス由来の脾細胞はカルシトニンレセプター、ビトロネクチンレセプター、carbonic anhydrase II (CAII)、c-src癌遺伝子産物(p60^<C-SRC>)、podosome形成能等の破骨細胞の特異形質を具備する多核細胞に分化するにも拘わらず、骨吸収活性は完全に欠如していた。この結果は、oc/ocマウスの骨吸収不全の原因は骨芽細胞によって構築される微細環境にあるのではなく、破骨細胞前駆細胞自身の異常に起因することを意味している。そこで、今回oc/ocマウスの脾細胞由来の多核細胞の各種性質及び腎の近位尿細管上皮細胞の異常について詳細に検討した。その結果以下の所見が得られた。(1)oc/ocマウス脾細胞由来の多核細胞内でのH^+の産生は、正常破骨細胞と同様に認められた。(2)H^+-ATPaseは、oc/ocおよび正常マウス脾細胞由来の破骨細胞において共に高い活性が認められた。これらの活性は液胞型H^+-ATPaseの特異的阻害剤であるBafilomycin A_1およびConcanamycn Bの処理によって完全に阻害された。(3)液胞型H^+-ATPaseの発現は、骨吸収を行っている正常破骨細胞においては、波状縁の形質膜上と空胞に強く認められたが、波状縁の形成が認められないoc/ocマウスの破骨細胞においては、細胞内の空胞の限界膜に沿った細胞質部分および粗面小胞体に局在していた。(4)oc/ocマウスのマクロファージのはん貪食能には異常は認められなかった。(5)oc/ocマウスの腎臓の近位尿細管上皮細胞から調整したmicrosome画分には、液胞型H^+-ATPaseの活性が認められたが、これらの細胞では血管側の基底陥入が消失しており、細胞内に多数のリソゾーム形成が認められた。以上の結果より、oc/ocマウスの破骨細胞は、細胞内においてH^+-ATPaseのような膜蛋白質の合成は完了していると考えられる。すなわち、oc/ocマウスでは波状縁前駆体は形成されているにも拘わらず、それらが骨表面へ輸送されないために波状縁を形成できず、骨吸収不全を呈するものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)