Research Abstract |
今回の科学研究補助金(奨励研究(A))により以下の検索を行った。 1.口腔癌症例におけるHPV DNAの検出およびp53 mutationの解析 20例の口腔扁平上皮癌のDNA sampleに対して、HPVについてはconsensus primerを用いたdetection assay、p53についてはPCR SSCP法によるmutationの検出を試みた。これらのうち8例にHPV16型の存在を確認し、5例にp53のmutationを認めた。今後症例を重ねて予後との比較検討を行う予定である。 2.口腔癌細胞株に発現するnm23遺伝子の解析 口腔癌細胞株HSC2,HSC3,HSC4,Ca992,KB,OSC20のmRNAを出発材料としてRT-PCR法によりnm23遺伝子の増幅を行い半定量的解析および制限酵素切断パターンの解析を行った。HAC4,Ca922,KB,OSC20にてnm23H1,H2遺伝子の発現に差異は認めなかったが、HSC2ではnm23H1の発現量が低く、HSC3ではnm23H2遺伝子のPCR productのsizeが小さいことが見いだされた。今後はこの事実が細胞浸潤能、移転能とどのような関わりをもつかを明らかにしていく予定である。方法論的には核MMP nRNAの発現量の解析、マトリゲルを用いた浸潤能の解析を行う計画である。 3.舌癌におけるPCNA陽性率と頚部リンパ節転移の相関について 初診時T1N0あるいはT2N0であった口腔舌癌24症例に対して抗PCNAモノクローナル抗体による免疫染色を施しその陽性率と後発頚部リンパ節転移との関係を検索した。これらのうち後発転移は6例に認められ、これらの症例ではPCNA 陽性率が30%以上であった。これによりぜつ扁平上皮癌細胞の増殖活性と転移能にはかなりの相関性があることが示唆された。
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