Research Abstract |
各種誘導法により誘導された腹腔MphiによるMeth A細胞傷害性試験においては,常在,ペプトン誘導,プロピオニ菌誘導のどの誘導段階においてもLTA処理MphiはLTA無処理Mphiより有意な傷害性を示し,その傷害性はLTA最終濃度50〜100mug/mlの時最も強く誘導され,またMDP前処理を行うことによりその誘導性はさらに増強されていた.また脾リンパ球を用いたMeth A細胞傷害性試験において,上記Mphiの結果と同様の傾向は示したが,傷害性は有意に上昇せず,lymphocyte系へ直接的影響による作用発現経路はは否定的であった.Mphiと同様の傾向を示した点については,実験に供した脾リンパ球中に混入するMphiの影響があると考えられLPS同様LTAの抗腫瘍作用発現の第一段階としてMphiの活性化が生ずるものと考えられた. そこでLTAにより誘導されるサイトカインについては,ヒト末梢血単球のみを用い検索行ったところMDP及びLTA存在下で培養された単球培養上清中にTNF-alpha,IL-1beta,IL-6,IL-8の誘導が確認され,このことは,これらサイトカインによるiymphocyte,granulocyteの活性化が生じ,Mphiにより認識されたエピトープ情報の受け渡し,そして腫瘍排除が生ずると考えられた.しかしその効果発現の至適濃度がin vivoでは200mug/mouceのに対し,in vitroにおける至適濃度は50〜100mug/mlと比較的高濃度となっており,腫瘍局所における反応のみとは考えにくく(血流の豊富な肝,脾臓のMphiがまず活性化されるものと考えられる)局所投与を行った場合同等の効果が発現するか,他の腫瘍についても同様に有効か,またさらにMphiの活性化がどの様な機序で生じているかという点は未検索でありこれらの点について今後検索する必要があると考えられた.
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