大腸菌の挿入因子IS1及びIS3の転移機構に関する研究
Project/Area Number |
05780497
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Molecular biology
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 靖彦 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (80222074)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 挿入因子 / IS1 / IS3 / トランスポゾン / トランスポゼ-ス / 転移 |
Research Abstract |
本研究は、大腸菌の代表的な挿入因子IS1とIS3に関して、その転移機構を解明する目的とした解析を行ない、以下のことが明らかになった。 1.IS1の逆向き反復配列(IR)の解析:IS1のIRの機能の解析を進める為に、まずIS1の転移頻度を測定できるアッセイ系を構築した。即ち、IS1のIRを両端に持ちその間に薬剤耐性マーカーを挟んだ転移のユニット(ミニIS1)と、IPTGにより誘導可能なプロモーターにより発現が調節できるようにしたトランスポゼ-ス遺伝子とを持つプラスミドを作製し、このミニIS1が別の標的プラスミドへ転移する頻度をミニIS1に由来する薬剤耐性のコロニー数から測定するというものである。実際に、添加するIPTGに依存してIS1の転移がおこることが確かめられた。今後は、このアッセイ系を用いて、ミニIS1のIRに部位特異的変異を導入し、それがIS1の転移に与える効果を調べる予定である。 2.IS3の転移機構の解析:(1)トランスポゼ-スが恒常的に産生されるような変異体IS3を持つプラスミドから生じる、転移中間体と考えられる直鎖状IS3分子を単離しその構造を詳細に解析した。その結果、直鎖状IS3分子は両末端にIS3の配列とは異なる5突出した3塩基の配列を有すること、その塩基配列はプラスミド上でIS3に隣接する配列と同じであることがわかった。このことは、直鎖状IS3分子がプラスミドから直接切り出されて生じたことを示し、この分子が転移の中間体である可能性を強く支持する。(2)IS3に関しても、1で述べたIS1の場合と同様のプラスミドを構築した。このプラスミドを保持する大腸菌において、IPTGの添加に依存して、ミニIS3による欠失反応やミニIS3の切り出し、環状化などの現象が観察された。(3)OrfA,OrfB蛋白質を誘導産生するプラスミドを構築した。このプラスミドを2-(2)で述べたプラスミドと共存させ、OrfA,OrfBの誘導がトランスポゼ-スにより誘起される現象に与える効果を現在調べている。(4)ファージT7のプロモーターを利用し、トランスポゼ-ス及びOrfA蛋白質の過剰生産に成功した。現在、各蛋白質の精製の他、in vivoでみられた現象が各蛋白質を含む粗抽出液の添加によりin vitroで再現できるかどうかを試みている。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)