中枢神経系発生過程における神経系特異的RNA結合蛋白質の役割の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
05780546
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Developmental biology
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡野 栄之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60160694)
|
Project Period (FY) |
1993
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
|
Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | スプライシング / 神経系特異的 / RNA結合蛋白質 / musashi / mouse-musashi |
Research Abstract |
神経系に発現している遺伝子の多くは、選択的スプライシングにより遺伝子産物の多様性を形成し、偏在的に発現している遺伝子の中でも神経系における特有の構造と機能を獲得しているものが知られている。この結果生じる遺伝子産物の多様性は、複雑な神経系の発生過程と可塑性等において重要な役割を果していることが予想される。しかしながら、この神経系における選択的スプライシングの機構、特にそこに関与する遺伝子産物に関しては、殆ど知見がない。申請者は、神経系のスプライシングを調節していると考えられる神経細胞特異的RNA結合性蛋白質をコードするmusashi遺伝子を、ショウジョウバエ神経系に異常を有する変異体のスクリーニングにより同定することに既に成功している。loss-of-function typeのmusashi変異体においては、成虫の外感覚器を構成する細胞群(Neuron,Glia,Tricogen,Tormogen)の発生過程における運命決定における異常が観察された。即ち、NeuronとGliaの前駆細胞(Neuron Glia Progenitor,NGP)がTricogenとTormogenの前駆細胞(Socket Shaft Precursor;SSP)に形質転換していることが明らかとなった。従って、ショウジョウバエmusashi遺伝子産物は、RNA結合性蛋白質として、post-transcriptional levelにおいて下流遺伝子群の発現を調節することにより、神経発生過程における細胞の運命決定を制御していると考えられた。更に我々は、より複雑で高次の神経系を有する哺乳類におけるmusashi遺伝子ファミリーの役割を明らかにするために、musashi遺伝子のマウス相同分子(mouse-musashi)の単離にも成功しており、これも神経系特異的なRNA結合性蛋白質をコードすることを明らかにした。mouse-musashi遺伝子産物は、神経系の未分化幹細胞において発現しており、ショウジョウバエの相同分子との類似性より、これも、哺乳類神経発生過程における細胞の運命決定を制御していると考えられた。又、本分子のRNA結合能の証明についても成功しており、今後下流標的遺伝子の同定をおこなって行きたい。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)