Project/Area Number |
05856032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
林産学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
馬場 啓一 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20238223)
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Project Period (FY) |
1993
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1993)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1993: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | あて材 / ユ-カリ / タンパク質分析 / 木部分化 |
Research Abstract |
2年生ユ-カリ木(Eucalyptus camaldulensis)を傾斜させ、地上約35cmおよび約135cmの2ヵ所で固定し、引張アテ材を形成させた。傾斜固定後、2週間目に伐木し、傾斜上側・下側それぞれ約90度の幅で剥皮した。剥皮した樹皮およびその直下の分化中の組織は直ちに液体チッソに投入、-80℃で凍結保存した。また、一部はFAAで固定し、組織観察用切片を作製し、サフラニン-ファストグリーン2重染色を行ない光顕観察した。また、螢光顕微鏡(U励起)でリグニンの沈着を、偏光顕微鏡で二次壁の体積を観察した。一方、凍結保存した試料の樹皮最内層および分化中の木部組織をそれぞれ液体チッソ中で磨砕し、1mM DTT,2mM EDTA,プロテアーゼインヒビターを含むトリス-塩酸緩衝液中で抽出、3000・gで遠心した上清をさらに100,000・gで遠心し、その上清をcytosol画分、沈澱物をmembrane画分とした。3000・g遠心の沈澱物から1MNaClを含むトリス-塩酸緩衝液で抽出したものをCell Wall画分とした。それらを5-20%グラディエントポリアクリルアミドゲル上でSDS電気泳動を行ない、傾斜上側(Tension)、傾斜下側(Opposite)を通常に成長中の個体から得られたものと比較した。 木口切片の観察から、処理後の成長量は傾斜上側で約2.8mm、傾斜下側で約0.6mmであり、傾斜上側に偏心成長か認められた。サフラニン-ファストグリーン2重染色像では、傾斜固定を行なった時点で形成層付近にあったと思われる部分以降の傾斜上側の組織がファストグリーンで顕著に染色された。その部分を蛍光顕微鏡(U励起)で観察すると、導管壁に若干の自家蛍光がみられるものの、通常材に比較してその強さははるかに弱く、引っ張りアテ材が形成されていることがわかった。傾斜上側・下側の分化中の組織を、剥皮によって樹皮側に来る部分と木部側に残る部分とにわけ、それぞれ抽出したタンパク質を遠心分離でcytosol画分・membrane画分・cell wall画分とし、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で通常材を形成中の試料から抽出した同一部位・同一画分のタンパク質とそれぞれ比較したところ、傾斜上側の木部側から抽出したcell wall画分で通常材形成時には見られないタンパク質のバンドがいくつか見られた。このことから、アテ材形成する際には二次壁肥厚期の壁に特異的なタンパク質が発現していることが示唆された。
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