Research Abstract |
本研究では,その目的を達成するために以下の要領で研究を実施した。 1.異なる環境条件で体毛の運動および電気力を非接触的に測定する装置の開発: (1)計測環境の温度,湿度を可変でき,かつ体の一部を入れての計測を可能とする恒温恒湿装置を設計,製作した。 (2)人体の一部への電界曝露ができる電界曝露装置を設計,製作した。 (3)画像処理および画像計測手法を利用して体毛の運動を計測,解析する装置を設計,製作した。 2.ヒトの前腕部に電界曝露した時の体毛運動を測定: (1)上記の装置を使用して,異なる多数の被験者に対し,温湿度条件を変化させつつ体毛の運動を観測した。 (2)電界中の体毛の運動から体毛に働く電気力を求めた。 3.種々の体表条件における電界感知閾値の測定: (1)同一被験者,同一環境条件において体毛の長さや密度状態を変化させた場合の感知閾値を実測した。 (2)上記計測を多数の被験者に対して繰り返し行ない,統計的に処理,解析をした。 4.種々の環境条件における電界の感知閾値の測定: (1)同一被験者に対し,異なる温湿度条件下で感知閾値を計測した。 (2)(1)の測定を多数の被験者に対して繰り返し,結果を統計的に解析した。 5.2〜4の結果を総合的に解析し,環境および体表条件と電界感知閾値の関係を実測により求めた。 以上の実験的研究により,次の研究成果が得られた。 人体による実測の結果,相対湿度の上昇により体毛に働く電気力が増大すること,およひ電界感知閾値が低下することがわかった。また種々の体表条件において,体毛の長さや密度が感知閾値の高低に影響することを確認した。 これらの結果により,当初目的として掲げた仮説の確認と電界の生体刺激作用の解析はほぼ達成できたと考える。
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