Project/Area Number |
05F05133
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Polymer chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
明石 満 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YOKSAN Rangrong 大阪大学, 大学院工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2006: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | キトサン / ナノ粒子 / フェニルアラニン / ラクチド / 自己組織化 / ワクチン / ドラッグデリバリーシステム / DDS |
Research Abstract |
キトサンは、自然界に存在する多糖類の中でセルロースの次に多く存在し、生体適合性や生分解性などバイオマテリアルとして適した性質を有している。これまで、創傷被覆剤やドラッグキャリアなど様々な生体材料へ応用されてきたが、キトサンの自己組織化によるナノ構造体の形成と制御に関する詳細な検討は行われていない。そこで本研究では、親水性多糖であるキトサンに疎水性のフェニルアラニンを結合し、親・疎水性のバランスを制御することによるナノ構造体の形成を目的とした。さらに、ナノ構造体の制御によるDDS・ワクチン担体としての応用を目標に設定した。 加水分解処理により低分子化することで水溶性を付与したオリゴキトサン(脱アセチル化度=83%、分子量=3,320)のアミノ基に、縮合剤であるEDCを用いてフェニルアラニンを結合した。反応はFT-IRや^1H-NMRスペクトル、X線回折測定により確認した。合成したキトサン誘導体は水溶性を示した。キトサン誘導体を水に溶解させてアセトンに添加することで、アセトンの色が乳白色に変化した。この溶液を乾燥した後に走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果、フェニルアラニンの導入率によって粒径50〜80nmの粒子状の凝集体から平均50〜150nmの大きさのロッド状へと構造が変化することが確認された。これは、フェニルアラニンの導入率に伴った親・疎水性のバランスで構造体の形状が変化したと考えている。 調製したキトサン-g-フェニルアラニンナノ粒子のDNAキャリアへの応用を目的としてサケ精子由来DNAとのコンプレックス形成を検討した結果、複数のナノ粒子がDNAとコンプレックスを形成することがDLSによる粒径測定、DNA染色による蛍光顕微鏡観察、SEM観察により明らかとなった。また、コンプレックスからのDNAの徐放について検討した結果、塩基性緩衝液中(pH=9.5)では3日以内にすべてのDNAが徐放されたが、酸性・中性緩衝液中(pH=3,7.4)では44日後においてもすべてのDNAが徐放されないことが確認された。さらに、キトサンナノ粒子、ナノ粒子-DNAコンプレックスの細胞毒性を調べた結果、細胞毒性を示さず安全性の高いDNAキャリアであることが明らかとなった。 以上のように、キトサン誘導体の親・疎水性を制御することで、ナノ粒子からロッド状構造体までキトサンの自己組織化の制御に初めて成功し、安全性の高い新規なDNAキャリアとして有用であることを見出した。本研究の成果は国際学会のプロシーディングスに受理されており、またアメリカ化学会Biomacromolecules誌に現在投稿中である。
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