Project/Area Number |
05J01493
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Philosophy/Ethics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 慶太 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | カント / 歴史哲学 / 自由 / 概念論 / ドイツ:フランス / 歴史 / ドイツ |
Research Abstract |
研究課題に即した本年度の研究は、1、カントの歴史哲学と、カントの実践哲学との関連、そして17世紀の他の哲学者との関連についての研究、2、カントの歴史哲学の基礎をなす『純粋理性批判』についての研究、という二つの研究に細分されうる。 第一の研究の成果は、「<学者の自由>とはなにか?-カントにおける自由概念の射程-」という題目での学会発表である(関西倫理学会2006年度大会)。この発表で私が明らかにしたのは、(1)カントの狙いは、単に巨視的に見られた普遍史の提示だけではなく、「普遍史を構想する」という行為自体である、(2)この行為が「理性の公的使用」として考えられている、(3)普遍史構想を提出する場が、「読書人世界(Leserwelt)」(いわば書物を通じて開かれるネットワーク)として考えられている、ということである。「読書人世界」は16世紀以来広く受け入れられていた「文芸共和国(respubulica litteraria)」という概念に通じるもので、ピエール・ベールの著作にも登場する。以上の研究成果は、カントとフランスの哲学者たちとの関係を考える上でも重要な手掛かりとなるはずである。 第二の研究の成果は、雑誌論文「超越論的反省とは何か?」(『近世哲学研究』第12号所収)と研究発表「区別と混同」(日本カント協会第31回大会)としてまとめることができた。私はこの考察で、特にカントの概念論に着目し、カントが伝統的な概念論に抗して、「概念」の内実を感性的直観(受容性)との関係のうちで捉え直す、その手続きを詳細に検討した。この捉え直しは、人間の有限性を見定めようとするカントの基本的な姿勢と本質的に連関している。『純粋理性批判』においてまず有限な人間のあり方が確保されているからこそ、歴史を鳥瞳的に眺める歴史哲学ではなく、普遍史を構想する主体に焦点を合わせる歴史哲学が成立しうるのである。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)