19-20世紀における精神病理と表象文化の関係とその変化についての精神分析的考察
Project/Area Number |
05J01555
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上尾 真道 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 精神分析 / ジグムント・フロイト / ヒステリー / スペクタクル社会 / 催眠 / ジャック・ラカン / フェティシズム / 去勢 / 精神医学史 / アドルフ・ヴェルフリ / アルフレッド・ビネ / 近代研究 / アール・ブリュット |
Research Abstract |
近代主体の病理的構造と表象文化との接点を探るため、本年度は、19世紀の中ごろから精神医学の重要な研究対象となり始め、フロイトの精神分析の発明においても中心的な興味を構成していたヒステリーに関して考察した。19世紀においては、ヒステリーという病の研究と平行して行なわれた催眠や暗示といった現象についての理論が、視覚的に受動的な位置に置かれながら結びつく「群集」を理解するために援用されたことを踏まえながら、フロイト以前のヒステリー研究において、イメージの問題がどのような視点から説明されたか、また、フロイト自身はそれに対しどのような理論構築を行なっていたかについて研究した。前者に関しては、主にサルペトリエール学派とナンシー学派という、催眠研究について異なる立場を取った二つの主要学派の理論をそれぞれ参照しながら、特に前者の論客であったビネとフェレの著作『動物磁気』におけるイメージの問題の扱われ方を、実証科学・経験主義という背景との関係から考察した。さらに、そうした問題について精神分析的視点を援用して行なわれた研究においては、フロイトが催眠や集団を理解しようとする際に導入しているリビドーという概念の背景に、生命の認識に関する歴史的な条件があることを指摘しながら、ラカンの「眼差し」という概念,を使って考察した。 また、精神分析が新たに開いたこうした視点を理解するためには、主体が生命との直接的な関わりを失う契機であるとされる「去勢」という概念を押さえる必要がある。フロイトがこの概念を洗練させていく過程には、いかにして失われた生が、何らかの対象と結びつきながら現実性を構築していくのかという問いへの取り組みが認められる。これに関して、特にフェティシズムという問題を取り上げ、ラカンを参照しつつ、身体と表象とがいかなる関係を持って主体的構造の中に位置付けられるかについて考察した。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)