Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
今年度は,モデル構築を主目的とし,昨年度までのデータを再解釈,考察することを中心とした.まず,粒度分析と<14>^C年代を5試料追加測定した.そしてここまでの結果を総合することでデルタの発達過程を考察し,モデル構築を進めた.大まかな発達史は昨年度までで既にわかっているので,今年度は細かな点に注目した.どんなデルタなのかを特徴付ける各種パラメータを年代ごと調べていった. その結果,主な新知見として,デルタが発達する時,単に堆積が進んで海岸線が移動するのみならず,各種パラメータが変化することがわかった.今回研究対象とした矢作デルタでは,デルタ発生から現在までに2回の大きな変化が起こっていることがわかった.1つ目の変化は4,5千年前に起こっており,それはデルタが内部開析谷から中部開析谷へ到達したときに相当する.内部開析谷では潮汐作用と海水準上昇速度の兼ね合いによってデルタ形成前からデルタ様の地形「クライノフォーム」が形成されており,その上にデルタが堆積しようとすると,その基盤地形のためにデルタの堆積可能な水深が制限され,デルタが浅くて緩勾配になることがわかった.この現象の発生要因が海水準上昇速度の低下,デルタ形成初期のみの潮汐作用の卓越にあるため,現在河川卓越型とされているデルタであれば共通に起こった現象であると予想される.2つ目の変化は2,3千年前に起こり,人間活動によって河川の土砂供給が増え,デルタの土砂埋積速度が急上昇した.これらについてモデル化し,成果として9月の目本地質学会にて発表し,現在論文の執筆がほぼ終わり,国際誌へ投稿する予定である.また,河川と潮汐作用のせめぎ合いの事例として三重県松阪市櫛田川河口の干潟を調査しており,目本地質学会で発表,優秀講演賞をいただき,現在国際誌へ投稿,査読中である.
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