Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Research Abstract |
本年度は,動力学震源インバージョン手法の特性について昨年度よりも詳細な検討を実施した.動力学震源インバージョン手法では,与えた形状の摩擦構成則に従う滑り変位の時空間分布を得ることが可能であるが,手法が非線形インバージョンであることから全ての推定変数が同等な精度で推定可能であるかは自明でない.そこで,数値解析例を用いた推定変数の感度分析を通じて変数毎の推定精度のRMSを用いた定量的評価の結果,傾斜角,及び破壊モデルの違いに関わらず,破壊時刻が与えられた観測波形から推定されにくいこと,破壊時刻を固定して推定することで安定した推定結果を得ることが可能なことが確認された. また,動力学震源インバージョンを鹿児島県北西部地震に適用し,推定された震源過程について考察を実施した.推定された破壊は破壊開始点付近から西側浅部に向かって大きな滑りが伝播し,その後に小さな滑りが東側,及び深部に伝播する様子が確認された.西側浅部での震源時間関数に鋭いピークが見られるが,この領域は推定された摩擦構成則に見られる応力降下量の高い領域と調和的である.また,境界積分方程式で断層の破壊過程を計算する際の要素分割数を変化させた場合に応力降下量の空間分布は両者で安定して推定されるが,滑り弱化距離や負の静的応力降下量は要素分割に依存する結果となるため,これらの推定を目的とするのであれば十分小さな要素分割を与えて計算する必要があることが確認された. さらに,摩擦構成則の2次元特性について粒子によりモデル化されたガウジ層に対するDEMによる解析を行い,滑り変位と発生する表面力の関係を考察した.解析の結果,定性的な評価ではあるが勾配の増加に伴い滑り方向の滑り弱化距離の短くなる傾向が得られ,また発現する摩擦抵抗力は必ずしも滑り方向と平行ではなく,勾配に従って角度を持つ結果となった.
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