Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究グループでは以前,基底1重項ビラジカルとモノラジカルの反強磁性的な交互1次元鎖が,広義のフェリ磁性的基底状態と非磁性基底状態を取り得ることを理論計算から提案している(一般化フェリ磁性理論).前年までの研究で,理論を部分的に実証するモデル系を得たが,構造までは明らかに出来ていなかった.本年度は,このモデル系に構造の異なる結晶多形があることを明らかにし,異種スピン量子数導入型の三元系錯体化合物(フェノレート置換ビラジカル-クラウンエーテル置換モノラジカル-アルカリ金属)の結晶構造を初めて決定した. 理論によると1次元鎖の基底状態は,ビラジカル分子内とビラジカル-モノラジカル間の相互作用の大小関係に強く依存する.これらの相互作用に変化を与えるには,外場の他に,分子に化学修飾を施す方法がある.特に,ビラジカル分子内の相互作用に変化を与える目的で,メタフェニレン型の基底1重項ビラジカルにかさ高い置換基を導入した.磁化率解析の結果,置換基導入体では無置換体に較べて,劇的に分子内相互作用が変化することが分かり,化学修飾の有用性を示す結果を得た. 理論のモデル系を得る方法として,上記の超分子アプローチと並行して,ビラジカルとモノラジカルをσ結合で連結する共有結合(トリラジカル)アプローチも試みた.このトリラジカルは分子内に2種類の磁気的自由度を持つことを希釈条件の磁化率の解析から決定した.また,トリラジカルの分子骨格を二等辺三角形型に近づけることで,理論のモデル系として望ましい交互1次元鎖構造を取りやすいことが分かった. 本研究を通じて,多成分系・単成分系の開殻有機分子の分子結晶について,分子の電子状態と非共有結合性分子間力の制御を含む結晶工学的方法により,結晶構造・分子配列を部分的に制御し,有機フェリ磁性をはじめ,分子由来の特異な磁気挙動を発現させる方法論を示した.
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