多周波ESR分光法による新規機能性高スピン分子システムの開拓
Project/Area Number |
05J03428
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Functional materials chemistry
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
沢井 隆利 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ESR分光学 / 高スピン化学 / 超分子化学 / ニューテーション分光法 / シクロファン / ESR分光 / カリックスアレン |
Research Abstract |
前年度に合成した4つのニトロキシドラジカルサイト導入した高スピン分子である「メタシクロファンニトロキシドテトララジカル」(以後、テトララジカル)の詳細な電子状態と分子構造を評価するために、分子軌道計算と半経験的なゼロ磁場分裂テンソルの計算を行った。分子軌道計算によるスピン密度分布は、全体のスピン密度の内98%が窒素と酸素原子上に集中し、電子スピンはニトロキシドラジカルサイトに局在化していることが分かった。これは、メシチルニトロキシドモノラジカルとテトララジカルにおける各々のラジカルサイトの電子分布が大きく違わないことを示しており、モノラジカルとテトララジカルの超微細相互作用の大きさがスピン射影因子のみで説明づけられること整合する。また、ESRスペクトルの測定から得られたゼロ磁場分裂定数D、Eをもとに、凍結溶媒中におけるテトララジカルの分子構造について検討した。仮定した種々の分子構造に基づき、4スピンクラスターモデルを用いたゼロ磁場分裂テンソルの計算を行い、実験値との比較からテトララジカルの分子構造を明らかにした。テトララジカルのX線結晶構造はほぼS_4の対称性を持っており、比較的対称性が高いため、結晶構造を仮定したときのD値は過小に見積もられることから、局所的な構造変化による対称性の低下と大環状骨格の構造歪みが生じていることは明白である。ニトロキシド基の配向と大環状骨格の構造歪みを仮定した分子構造を適用することにより、矛盾無くゼロ磁場分裂定数を再現することができ、凍結溶媒中の分子構造を明らかにすることができた。以上より、テトララジカルの凍結溶媒中での分子構造が、X線結晶構造とは大きく異なるという事を実験的に初めて明らかにするとともに、大環状高スピン分子の電子・分子構造の評価法としてのESR分光法の有用性を実証することができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)