Project/Area Number |
05J03446
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
前川 健典 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 分子磁性 / スピン化学 / フェリ磁性 / 量子スピン / ラジカル / ニトロニルニトロキシド / ESR / 磁気物性 |
Research Abstract |
1.核酸塩基アプローチを用いたヘテロスピン系の構築 核酸塩基分子に基づいたアプローチにより、本研究課題である一般化フェリ磁性系の構築を試みた。これは、シトシン、グアニンなど、核酸塩基の特質である多重点水素結合による選択的分子認識を利用することで、結晶固体中で基底一重項ビラジカルと二重項モノラジカルを共存させようとするものである。以前に設計・合成済みであったシトシン置換基底一重項ビラジカルとグアニン置換モノラジカルをbuilding blockとし、Watson-Crick型水素結合に根ざしたビラジカルーモノラジカル水素結合錯体の合成に成功した。単結晶X線結晶構造解析から、当初の狙い通りのヘテロスピン対形成を明らかにした。また、グアニン-シトシン塩基対間のside-by-sideの水素結合により、塩基対の交替的な一次元水素結合ネットワークを形成しており、これによりビラジカル部位とモノラジカル部位の交互一次元配列を達成した。磁気的ネットワークについては理論モデルに合致するものではないが、結晶固体中でのヘテロスピン分子の「共結晶化の成功」・「一次元交互配列の達成」という観点からは大きな前進と言える。この成果は、現在投稿論文として準備中である。 2.純有機フェリ磁性モデルとしてのトリラジカル結晶における磁気相転移 フェリ磁性モデル分子としてのトリラジカルについての溶液ESRスペクトルにおける窒素核・水素核による超微細分裂パターンの詳細な解析から、分子内交換相互作用の相対的な大きさ・固体の磁性(T>1.9K)について、以前投稿論文として報告している。今回、^3He冷凍機を用いることによる1.9K以下での磁化率測定から、0.9Kでの磁気相転移を見出した。最低温度(0.54K)での磁化の磁場依存性からはスピンフロップ挙動を観測し、基本的には反強磁性的な相転移であると考えられる。しかし、転移点以下での磁化率の挙動は典型的な反強磁性体のものとは異なり、自発磁化を有する秩序状態への転移であることを示唆した。この二点から、弱強磁性体への相転移であると考えられる。また、熱容量測定の結果から5Kでの磁気エントロピーの値はRln4に相当し、分子間でビラジカル部位とモノラジカル部位がS=3/2を形成した後、磁気相転移に至ったと考えられる。自発磁化を有する秩序状態への相転移は、純有機物質からなるヘテロスピン系としてこれが初めてである。この成果については、より詳細な考察を行うと共に、現在投稿論文として執筆中である。
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