Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本年度は,実際に認知実験に見られる主体性に関する認知実験をもとにして,相互作用における能動性と主体性のモデル化を行った.人間は他人との相互作用において,自己の意図性をそのやりとりされる運動の中に表現する.その主体性は一人の運動の表現から導かれるものではなく,相互作用そのものに埋め込まれている(例えば,Trevarthenらの実験(1985)).この間主観的な社会的相互作用における主体性の検出運動ダイナミクスのシミュレーションを行い,大域的な力学系の観点から解析を行った. シミュレーションでは,相手のエージェントがニューラルネットワークを使ってリアルタイムに応答しているのか,それとも,以前相互作用したときに録画された運動をリプレイするだけの非応答エージェントであるのか,を区別することをもって相手の主体性の判断とした. この区別ができるエージェントを進化的アルゴリズムによって獲得し,その運動と内部ダイナミクスの解析を行った.結果として,ここでのエージェントの主体性はアトラクター間のトランジェントダイナミクスが相互に絡み合うことによって実現された.また,その主体性検出のための運動ダイナミクスは,ノイズに対する大域的なダイナミクスのロバスト性と接触タイミングを揺らがすための入力に対する鋭敏性と振る舞いの多様性を利用することで十分可能であることがわかった.このことは,相手の主体性を認知するために,複雑な情報を統合する個々の認知機構は必ずしも必要条件とはならず,むしろ,相互作用の自体のリアルタイム性とノイズに対する頑健性によって実現が可能であることを意味している.これらのシミュレーション結果は,人の主体性を扱うような難解な認知の問題に対しても,モデルを複雑化して理解するのではなく,環境とエージェントを簡素に記述し,その相互作用から考えるという身体性モデリングの一つの可能性を示した.
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