Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
これまで行ってきた研究に引き続き,感性印象を規定する主要3次元(活動性・力量性・品性)のそれぞれについて印象が一致する組み合わせと不一致である組み合わせを作成し,印象が記憶に及ぼす影響のメカニズムについて検討した.これまで活動性(「明るい-暗い」など)・力量性(「力強い-弱々しい」など)次元では印象が一致するときに再認が促進されるのに対し,評価性(「美しい-醜い」など)次元では印象の不一致が再認を促進することが明らかになっている.これまでは主に意図的に刺激対を学習させ,学習の直後に再認テストを行なっていたが,印象の無意図的・潜在的影響について検討するため,被験者に再認テストがあることを教示せず無関係の課題を行なわせた後,再認テストを実施するという偶発学習課題により印象が記憶に及ぼす影響を検討した.また,直後再認ではなく3日後に再認テストを行ない,印象の長期的影響についても検討した.パーソナルコンピュータで作成した刺激をディスプレイ上に呈示し,SD法による印象判断またはネガティビティ判断課題と再認記憶実験を行なった.その結果,評価性次元で印象が不一致である場合,3日後に再認テストを行なっても正確に想起されたが,活動性・力量性で印象が一致するものは3日後のテストでは再認成績が顕著に低下した. 以上の研究を総合し,さらに理論的背景の整理と総合的考察を加え,博士学位論文にまとめて提出した.論文は平成18年6月に受理され,博士号(文学)を取得した. さらに,顔の印象と物理特徴に関する共同研究として,主成分分析にもとづき顔画像を画像ベクトルの集合で表現し,大域的な物理特徴を定義した.感性印象をSD法で測定し,印象を規定する積極性・力量性・品性の3次元に着目し,これらの印象をそれぞれ定量的に変容させる印象変換ベクトルを作成した.さらに印象変換ベクトル法により合成された顔画像について印象評定を行い,印象変換ベクトルの心理学的妥当性を確認した.
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