Project/Area Number |
05J07651
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Electron device/Electronic equipment
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 雅光 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 単一磁束量子回路 / SFQ / マイクロプロセッサ / 超伝導デバイス / 集積回路 / ジョセフソン接合 |
Research Abstract |
本研究では、超伝導デバイスを用いた単一磁束量子(SFQ)回路による超高速マイクロプロセッサの実現を目指し、実際にSFQマイクロプロセッサやその核となる演算部を具現化してその実現可能性、及び高速性と低消費電力性を評価することを目的としている。昨年度は、以前に実証を行ったごく簡単なマイクロプロセッサの高性能化を行うために新しくマイクロプロセッサ全体を設計し、その部分動作を確認した。本年度は高性能化したマイクロプロセッサの完全動作を目指すとともに、さらに高速な演算回路に向けた検討も進めた。本年度得られた成果は以下の通りである。 1.新しく設計したマイクロプロセッサはこれまでで最大となる一万素子規模である。電源となるバイアス電流により発生する磁場の影響を防ぐため、バイアス供給線を超伝導体で覆ったセルライブラリを既に横浜国立大学と協力して構築したが、今回、チップ上でバイアス電流を供給する点付近に発生する磁場も悪影響を及ぼすことが分かった。ダイサイズを通常の5mm角から8mm角へと変更し、バイアス供給点から回路を離した結果、高性能マイクロプロセッサの完全動作を確認した。実証したマイクロプロセッサは機能面ではまだ劣るものの、17GHzと25GHzのクロック信号で演算等を行い、ピーク性能は1400MOPS(1秒間に14億演算)と見積もられた。これは現在の半導体プロセッサと概ね同程度の性能である。消費電力は3.4mWで、単位消費電力あたりの性能は半導体と比べて4桁優れていることから、SFQプロセッサを多数並べることで高い性能を発揮できる可能性が示されたといえる。 2.実証に成功したマイクロプロセッサは、世界的に見てももっとも複雑で大規模なSFQ回路の動作実証である。今回の評価では、大規模SFQ回路における課題として、バイアス電流に対する動作マージンが減少する問題が見られた。この原因を追究するために、バイアス電流を供給した際にグランド上に流れるリターン電流に着目し、リターン電流を制御するために新しいバイアス電流供給方法の検討を行った。2種類の大規模回路を試作し、評価した結果、バイアス供給法を変えることで動作マージンの拡大が見られた。このことから、今後、バイアス供給方法をより改善する必要があることが明らかとなった。 3.今回実証したマイクロプロセッサでは、SFQ回路の高いスループットを回路の簡略化に用いるという思想の下、その端的な実現方法であるビットシリアル処理を特徴とした。しかし、より一層の性能向上には、パラレル処理を導入していく必要がある。その際の問題点の一つは、回路中に複雑なデータパスのループができてしまい、SFQ回路の高いスループットが阻害されることである。高速な演算をSFQ回路で行うための設計手法として、これまでに状態遷移に基づいた新たな演算方法を提案したが、本年度はその応用例としてパラレル方式の算術演算回路を設計した。試作したチップを評価した結果、最高20GHzで演算が行えることを確認し、その有効性を実証した。
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