『源氏物語』と一条朝文人の諸作品にみる漢詩文受容の様相について
Project/Area Number |
05J07884
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
金丸 由美 (長瀬 由美) Meiji University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2007: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 平安朝 / 漢文学 / 源氏物語 / 漢詩文 / 白氏文集 / 漢籍受容 / 文人 / 一条朝 / 『白氏文集』 / 平安朝漢文学 / 『源氏物語』 / 諷論詩 / 策林 / 慶滋保胤 / 『本朝麗藻』 / 紫式部集 / 唐代伝奇 / 中国文学史 / 儒教 / 虚構の方法 |
Research Abstract |
本年度は、『源氏物語』の創作された一条朝における文人達の白居易詩文受容の様相を検証した。とくた紫式部の父藤原為時や彼と親しかった藤原行成、また一条朝の名儒とされた大江匡衡、一条朝文人達に大きな影響を与えた慶滋保胤に注目し、『本朝文粋』所収の詩序・奏状・書・記や『本朝麗藻』所収の漢詩といった、彼らの漢詩文作品を個別に検討し分析した。その結果、行成や為時の作品に保胤に連なる白居易閑適詩への深い共感が認められることを明らかにし、こうした白居易閑適系作品への傾斜が、平安中期の文人達における白詩受容のひとつの大きな流れとなっていたことを確認し、一方大江匡衡の白詩受容のありかたが、主に詩文の修飾にのみ関わり、白居易閑適詩や諷論詩の思想・精神とは敢えて関わろうとしないという特異性を持っていることを明らかにした。一条朝文人の漢籍受容のありかたについて、各人個別の特徴を実証するとともに、全体的な趨勢・傾向及び、共通する志向をもつ文学圏の形成など、漢籍受容のありかたを通して一条朝漢詩文の様相の総体を明らかにしたのである。このほか、『源氏物語』若菜巻以降にとりわけ鮮明になってゆく、女性の人生の困難さを見据える物語の視座について、漢文学における女性の人生の困難を詠う伝統、特に『白氏文集』のそれとの関わりにおいて考察を試みた。白居易諷諭詩中の新楽府詩群や「婦人苦」等によって詠われた<女の生き難さ>の表現の形と関わらせ、さらには『文集』がその内部に抱え持つ矛盾であるところの、恋愛詩群に対する『源氏物語』の共感ということに論及し、『文集』における女性観・恋愛観が『源氏物語』にいかに影響しているのかを探った。今年度は以上の研究成果を、これまで継続・発表してきた研究成果とともにまとめ、『源氏物語と平安朝漢文学の研究』の題で博士論文を提出した(2007年12月、東京大学大学院人文社会系研究科に提出)。
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Report
(3 results)
Research Products
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